文献詳細
巻頭言
文献概要
わたくしは臨床医である。したがつて基礎医学に対しては,それに直接携わる研究者とは,少しちがつた角度からの希望がある。
わが国でも基礎医学においては,独創的なすぐれた業績がつぎつぎとあらわれ,日本の医学を世界的に推進させていると話してくれた人がある。なるほどそれらの仕事の解説をきくと,りつぱなもののような気もする。しかしそれはしよせん,おいしそうな御馳走を望遠鏡でのぞかせられたようなもので,わたくし自身の身にはならないのである。そんなに極上でなくてもよいから,実際にほおばれるもののほしいというのが,臨床家の真情である。ところが,事実はあまりに遠方に並べられた美味ばかりで,食用としては役にたたず,鑑賞用にしかならないものが大部分である。
わが国でも基礎医学においては,独創的なすぐれた業績がつぎつぎとあらわれ,日本の医学を世界的に推進させていると話してくれた人がある。なるほどそれらの仕事の解説をきくと,りつぱなもののような気もする。しかしそれはしよせん,おいしそうな御馳走を望遠鏡でのぞかせられたようなもので,わたくし自身の身にはならないのである。そんなに極上でなくてもよいから,実際にほおばれるもののほしいというのが,臨床家の真情である。ところが,事実はあまりに遠方に並べられた美味ばかりで,食用としては役にたたず,鑑賞用にしかならないものが大部分である。
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