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文献詳細

雑誌文献

生体の科学7巻5号

1956年04月発行

文献概要

論述

無脊椎動物心臓の歩調取り部

著者: 入沢宏1 入沢彩1

所属機関: 1広島大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.241 - P.251

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 心臓の運動を研究し血液循環の原理を始めて明らかにしたのは,W.Harveyであるが,心臓の搏動が何に依つて起されているかと云う事に就ては何等の説明も為されなかつた。
 心臓がそれ自体の中に收縮の原動力となるものを含む事が発見されたのは18世紀の後半に達してであつた。尚当時相続いて発見されたRamak,Bidder, Ludwigの神経節は心臓原性收縮に有利な証拠となつたが,歩調取りと云う事に就て最も明らかな貢献をした最初の人はStannius(1852)であつた。彼の有名な結紮実験は心收縮の起源が神経原か筋原か云う事に就ては何等の解決を与えなかつたが,静脈洞から心收縮の興奮波が起ることを如実に示したものである。此の事は其の後Gaskell(1881)に依って更に歩調取りの概念に迄進んだが,彼に依つて得られた多くの結果から両棲類や爬虫類では心搏動の起源が筋源的であるという事に圧倒的な支持を与えた28)34)。其の後心臓が自働的に動くと云う驚異に対して,多くの先達が実験を重ね,哺乳動物には洞結節の部分に全心臓の搏動を主宰する部分のあることが早くから知られた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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