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文献詳細

雑誌文献

生体の科学7巻6号

1956年06月発行

文献概要

綜説

Phosphagenについて

著者: 服部信1

所属機関: 1東京大学医学部沖中内科

ページ範囲:P.290 - P.295

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 エネルギー代謝の研究過程に於いて,エネルギー源の探求は,筋收縮機序等の本質的な生理学的問題の解明に重要な鍵を与えるに到つた。恰も一国の政策をば,其の財政のみの検討で,大略了解し得るが如きものである。筋のエネルギー代謝を追求して,糖の研究が行われ,次に解糖酸化の解明に源を発してHill-Meyerhofは筋收縮時にはGlykogenが分解して,乳酸を生じ,恢復過程に於いて,乳酸の一部が,酸化を受けて燃焼し,之のエネルギーを以て,残余の乳酸がGlykogenに戻る事実を明らかにした。かくてPasteur Fletcher and Hopkinsに始つた解糖現象の機序の研究は完全に明確となつたかの如くであつた。
 一方燐酸代謝,筋Kreatin研究より,1927年,Eggleton夫妻1)及びFiske and SubbaRow2)等は,殆んど時を同じくして,従来無機劃分中に入れられていた内に,実は,,酸性で極めて不安定な為に,一見無機燐の如く見えるもののある事を見出し,之をPhosphagenと命名した。之が即ち,Kreatin燐酸である。EggletonはBa鹽として粉末状に得たがFiske and SubbaRowは猫の筋肉より,之をCa-塩として結晶状に取出した。従来Gustav Embden等に依り,無機燐として報告された値の半分以上は,実にKreatin-燐酸だつたのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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