文献詳細
報告
文献概要
Varga1)によればglycerol筋のATP収縮と温度の間に密接な関係があり,伊藤2)はこの事実を追試確認した。A. Szent-Györgyi3)はVargaの成績に基き,この関係を収縮状態並びに弛緩状態にあるcontractile unit間に成立する熱力学的平衡をもつて説明し,斯る観点からactomyosin(AM),ATP反応をもつてする筋収縮学説を提唱した。然しこれは今日Weber4),Hill5),永井6)等によつて批判された。永井7)はA. Szent-Györgyiの学説に対し,筋収縮はAMの収縮過程と弛緩過程間に成立するSteady state cycleによるものとしている。
A. Szent-Györgyiの学説の一基礎をなした温度による収縮の可逆性については,低温(0〜20℃)ではVarga1)及び伊藤2)によつて見られたが,高温(20〜50℃)に於ける可逆性については未だその成績を見ない*。Weber9)は高温に於ける成績に対してAMの不可逆的変性を疑つている。湯田坂10)によればAM・ATPase活性は少くも40℃までは温度上昇と共に増強する。従つてWeberの云う如く高温部に於ける成績を単純な変性と解する事は出来ない。著者は永井の学説に於けるこの点の重要性から,高温部に於ける収縮の可逆性を検討した。
A. Szent-Györgyiの学説の一基礎をなした温度による収縮の可逆性については,低温(0〜20℃)ではVarga1)及び伊藤2)によつて見られたが,高温(20〜50℃)に於ける可逆性については未だその成績を見ない*。Weber9)は高温に於ける成績に対してAMの不可逆的変性を疑つている。湯田坂10)によればAM・ATPase活性は少くも40℃までは温度上昇と共に増強する。従つてWeberの云う如く高温部に於ける成績を単純な変性と解する事は出来ない。著者は永井の学説に於けるこの点の重要性から,高温部に於ける収縮の可逆性を検討した。
掲載誌情報