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文献詳細

雑誌文献

生体の科学70巻1号

2019年02月発行

文献概要

特集 脳神経回路のダイナミクスから探る脳の発達・疾患・老化

自発神経活動と視覚系神経回路のスクラップ&ビルド

著者: 田川義晃1

所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経筋生理学分野

ページ範囲:P.23 - P.27

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 脳の機能発達に重要なのは遺伝か,環境かというのは古くから続く議論である。脳の機能のもととなる神経回路のレベルでは,初期の大まかな回路はゲノム情報に基づく遺伝プログラムによって形成され,その後,神経活動に依存したメカニズムによってより正確な,環境に適した,機能的な回路が形成・再編成されると考えられている1)。この一般則がよくあてはまるのが哺乳類の視覚系神経回路の形成過程であり,遺伝プログラムによって発現する軸索ガイダンス分子が大まかな回路の形成に働くこと,いったん形成された回路が環境入力の変化によって可塑的に,神経活動依存的に再編成され得ること,すなわち神経回路の形成には遺伝要因も環境要因も両方が重要であることが示されてきた2)
 回路形成に重要な神経活動には,環境入力によるものに加えて,自発的な神経活動もある。神経細胞は成熟に伴って種々のイオンチャネルを発現し,自発的に発火する。多数の神経細胞は発達過程でシナプスを介してつながり,自発的なネットワーク活動を示す。実際,発達期の哺乳類の網膜では,視覚入力によらない自発的なネットワーク神経活動が頻繁にみられ,この神経活動も視覚系回路形成に重要な役割を担うことが示されてきた3)

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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