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文献詳細

雑誌文献

生体の科学70巻2号

2019年04月発行

文献概要

特集 免疫系を介したシステム連関:恒常性の維持と破綻 Ⅰ.免疫と概日リズム

体内時計と脂質代謝

著者: 久保允人12

所属機関: 1東京理科大学生命医科学研究所分子病態学部門 2理化学研究所統合生命医科学研究センターサイトカイン制御研究チーム

ページ範囲:P.81 - P.86

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 生活習慣関連疾患の一つ,肥満は世界的に差し迫った公衆衛生上の大きな問題である。世界中で21億人を超える個人が肥満であり,年間約300万人以上が肥満を含む生活習慣関連疾患によって死亡している1)。そのため,ヒトの代謝およびエネルギー恒常性を調節する宿主および環境因子を同定することが急務とされている。
 代謝およびエネルギー恒常性を考えるうえで腸内細菌叢は,哺乳類の体組成に大きく影響を与える環境要因である。その良い例として,無菌状態で飼育されるマウスの体脂肪は,SPF(specific pathogen free)環境下で飼育されているマウスに比べて減少傾向にあることが挙げられる2)。これは,食事から脂肪組織にエネルギーの貯蔵をする際,腸内細菌叢がエネルギーの収集を促進するためである3)。しかしながら,微生物の宿主代謝経路の調節がエネルギー貯蔵と体組成にどのように影響を与えるかについてはあまり理解されていない。最近筆者らは,微生物叢が転写因子NFIL-3を介して体組成を調節することを発見した。Nfil3転写は腸管上皮細胞において日内変動し,その変動はグループ3の自然リンパ球(ILC3),STAT3(signal transducer and activator of transcription 3)を介した微生物叢,腸管上皮細胞にある概日時計によって制御される。本稿では,NFIL-3がどのように体組成を調節し,微生物叢,概日時計,および宿主代謝の間の不可欠なネットワークを確立するかについて解説する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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