生体の科学70巻2号

2019年04月発行

特集 免疫系を介したシステム連関：恒常性の維持と破綻

Ⅲ．免疫と内分泌

グルココルチコイドによる正負の免疫制御

著者： 榛葉旭恒¹ 生田宏一¹

所属機関： ¹京都大学ウイルス・再生医科学研究所ウイルス感染研究部門免疫制御分野

ページ範囲：P.102 - P.108

文献概要

　グルココルチコイド（糖質コルチコイド）は副腎皮質から産生されるステロイドホルモンの一つであり，強い抗炎症作用や免疫抑制作用を持つため，アレルギーや自己免疫疾患といった炎症性疾患の治療に頻繁に用いられる。しかし，最近の筆者らの研究から，日内変動するグルココルチコイドの産生が獲得免疫の中枢を担うT細胞のサイトカイン受容体の発現を促進し，T細胞の体内循環や抗原に対する免疫応答の日内変動を調節することで，生体防御に働くことが明らかになった。本稿では，従来知られているグルココルチコイドの免疫抑制効果と，新知見であるグルココルチコイドの生体防御促進機能を概説し，グルココルチコイドが免疫系に対し正負の両作用を併せ持つユニークなホルモンであることを紹介する。

参考文献

. 179：1835-1846, 1994

. 200：1635-1646, 2004

. 98：1287-1295, 1989

. 14：4443-4454, 1994

. 20：919-926, 2014

. 109：4313-4319, 2007

. 21：1177-1188, 2007

. 210：1919-1927, 2013

. 19：954-962, 2018

. 168：2212-2218, 2002

. 174：7800-7806, 2005

. 195：3129-3138, 2015

. 48：286-298, 2018

. 1024：138-146, 2004

. 156：2406-2412, 1996