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文献詳細

雑誌文献

生体の科学70巻2号

2019年04月発行

文献概要

特集 免疫系を介したシステム連関:恒常性の維持と破綻 Ⅴ.免疫と代謝

脂肪組織の間葉系幹細胞(前駆脂肪細胞)のニッチとしてのM1およびM2マクロファージ

著者: 桑野剛英1 五十嵐喜子1 瀧川章子1 藤坂志帆1 八木邦公1 戸邉一之1

所属機関: 1富山大学大学院医学薬学研究部(医学)内科学第一講座

ページ範囲:P.141 - P.147

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 脂肪組織に在住するマクロファージには,脂肪細胞の機能を調節する作用があることが注目されている。マクロファージはその役割の違いから,M1型マクロファージとM2型マクロファージに分類される。肥満で増加するM1マクロファージからは炎症性サイトカインが分泌され,インスリン抵抗性を誘導する。一方,非肥満で優位に存在するM2マクロファージから分泌されるIL-10などのサイトカインは,その抗炎症作用によりインスリン感受性の維持に関与すると考えられてきた。最近筆者らは,マウスの解析から,M1およびM2マクロファージも直接,前駆脂肪細胞へ働きかけ,血管新生や前駆脂肪細胞の増殖・分化を調節しインスリン感受性を制御することを明らかにした。特に,M2マクロファージは前駆脂肪細胞のニッチとなり,増殖と脂肪細胞への分化をTGFβ依存性に抑制し全身の肥満度とインスリン感受性を調節していることを見いだした。本稿では,脂肪組織マクロファージによる前駆脂肪細胞の調節を介したインスリン感受性の調節機構について言及する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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