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文献詳細

雑誌文献

生体の科学70巻3号

2019年06月発行

文献概要

特集 免疫チェックポイント分子による生体機能制御 Ⅱ.免疫チェックポイント分子とがん

免疫チェックポイント阻害によるがん免疫療法

著者: 河上裕12

所属機関: 1国際医療福祉大学医学部 2慶應義塾大学医学部先端医科学研究所細胞情報研究部門

ページ範囲:P.187 - P.193

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 長年期待されていた腫瘍抗原特異的T細胞応答を利用するがん免疫療法として,免疫チェックポイント阻害薬と体外培養T細胞を用いる養子免疫療法の開発が進み,標準治療に抵抗性の進行がんに対しても持続的な腫瘍縮小効果が示された。従来,免疫療法が比較的効く特殊ながんとされた悪性黒色腫や腎がんを超えて,肺がん,胃がん,大腸がん,膀胱がん,中皮腫,頭頸部がん,悪性リンパ腫など様々ながんに対して腫瘍縮小効果を示したことは,臨床の現場での免疫療法の位置付けを一変させ,がん治療開発の方向性も変わりつつある。Science誌は,がん細胞でなく免疫細胞を標的にして,複数のがん種で明確な治療効果を示したがん免疫療法を,がん治療のパラダイムシフトを起こしたとして2013年度Breakthrough of the Yearに選び,免疫チェックポイント阻害薬を基軸とした複合的ながん免疫療法を今後期待できる戦略として,Areas to watch 2015とした。その後のアカデミアと企業による基礎研究と臨床研究の進展はすさまじく,既に複数の複合がん免疫療法が承認されている。また,従来のがんワクチンなどとは異なり,明確に効く症例と効かない症例を分けることができる免疫チェックポイント阻害薬では,そのリバーストランスレーショナル研究から抗腫瘍免疫応答の病態解明に,臨床的には,治療効果を予測するバイオマーカー候補や新規治療標的候補の同定が進んでいる。

参考文献

. 342:1432-1433, 2013
2)河上 裕編:がん免疫療法—腫瘍免疫学の最新知見から治療法のアップデートまで—,実験医学増刊号,羊土社,2016
. 39:1-10, 2013
. 541:321-330, 2017
. 3:136, 2013
. 28:393-399, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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