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特集 免疫チェックポイント分子による生体機能制御 Ⅱ.免疫チェックポイント分子とがん
DNA損傷によるPD-L1発現制御
著者: 柴田淳史1
所属機関: 1群馬大学大学院医学系研究科大学院教育研究支援センター
ページ範囲:P.194 - P.201
文献購入ページに移動 近年のがん治療において,抗PD-1/PD-L1抗体を用いた免疫治療は革新的がん治療法として世界的に大きな注目を集めている1)。PD-1は細胞傷害性T細胞に発現する受容体であり,PD-L1は標的細胞の膜表面上に提示されるPD-1のリガンドである。PD-L1はPD-1受容体と相互作用することで免疫抑制効果を引き起こすことから,その反応系は免疫チェックポイントと呼ばれている。抗PD-1抗体または抗PD-L1抗体はこの相互作用を遮断する免疫チェックポイント阻害剤として機能する。抗PD-1/PD-L1抗体を用いたがん治療では,腫瘍環境内を含めた全身の免疫抑制状態を解除することで患者の免疫機能を活性化し,抗腫瘍効果を発揮する。これまでの臨床データから,抗PD-1/PD-L1抗体治療では高反応性の患者群が存在することが示されているが,単剤では治療効果が十分ではない患者群も少なからず存在する。そのため,高反応性を示す原因を探る研究が活発に行われている2)。
また一方で,抗PD-1/PD-L1抗体と既存のがん治療法である放射線治療や化学療法剤を併用する臨床試験が世界各地で行われている。しかしながら,併用の際にどのような腫瘍に対し,どのようなタイミングで投与するかはいまだ研究段階である。抗PD-1/PD-L1抗体ががん治療の標準治療になると期待されるなかで,どのような集学的治療戦略を立てるべきか,その情報源となる分子生物学情報基盤の確立は重要な課題の一つである。
また一方で,抗PD-1/PD-L1抗体と既存のがん治療法である放射線治療や化学療法剤を併用する臨床試験が世界各地で行われている。しかしながら,併用の際にどのような腫瘍に対し,どのようなタイミングで投与するかはいまだ研究段階である。抗PD-1/PD-L1抗体ががん治療の標準治療になると期待されるなかで,どのような集学的治療戦略を立てるべきか,その情報源となる分子生物学情報基盤の確立は重要な課題の一つである。
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掲載誌情報