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文献詳細

雑誌文献

生体の科学70巻3号

2019年06月発行

特集 免疫チェックポイント分子による生体機能制御

Ⅱ.免疫チェックポイント分子とがん

TIM-3/galectin-9 autocrine loopによる白血病進展機構

著者: 菊繁吉謙1 赤司浩一2

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院応用病態修復学 2九州大学大学院医学研究院病態修復内科学

ページ範囲:P.207 - P.210

文献概要

 “がん幹細胞(cancer stem cell)”理論では,同一の遺伝子変異により成立したがん細胞において,すべてのがん細胞が均一な造腫瘍能を有しているのではなく,少数存在するがん幹細胞のみが,自己複製を行いながら腫瘍を再構築する能力を保持するという,正常幹細胞システムに類似した階層的モデルとして理解される。このようながん幹細胞の存在が初めて証明されたのは,免疫不全マウスへの異種移植実験を用いた急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia;AML)における白血病幹細胞の同定であった1,2)
 白血病幹細胞は,自己複製能力を有し,未分化性を維持しながらも白血病細胞への限定的分化能力を有し,少数の白血病幹細胞が白血病細胞集団を維持している。白血病幹細胞純化が可能になったことにより,白血病発症機構の解明に大きな進歩がもたらされた。近年では,次世代シーケンサーを含めた種々の解析技術の向上により,白血病発症機構およびclonal evolutionの過程を含めて飛躍的に白血病幹細胞の理解が深まった。その一方で,白血病幹細胞のcell-intrinsicな性質の理解に加えて現在では,白血病幹細胞と周囲環境の相互作用,特に免疫監視機構との相互作用にも注目が集まっている。そこで本稿では,筆者らの同定した白血病幹細胞特異的表面抗原TIM-3分子の腫瘍細胞におけるcell-intrinsicな機能に加えて,周囲の免疫監視機構との相互作用について最近の知見を含めて紹介したい。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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