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特集 メカノバイオロジー Ⅲ.力学環境依存的な細胞の機能発現
間質の硬さと線維芽細胞の多様性が規定するがんの進展メカニズム
著者: 江崎寛季1 水谷泰之1 榎本篤1 高橋雅英1
所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍病理学
ページ範囲:P.312 - P.316
文献購入ページに移動がん組織を硬くする要因は主に線維芽細胞が産生するコラーゲン,ラミニン,フィブロネクチンなどの細胞外基質(extracellular matrix;ECM)の蓄積である。間質(がん細胞以外の領域)に沈着したECMはがん細胞の接着のための新たな足場となり,その運動能・浸潤能の上昇に多大な貢献をすることは周知の事実である。加えて,近年の研究では,間質の硬さそれ自体ががん細胞の悪性化を更に促進することが明らかにされており,特に膵がん・胆管がん・消化管の硬がんなどの難治がんの病態の本質を把握するには,このようながんのメカノバイオロジーの理解が必須である。更に最近の研究により,間質を構成する線維芽細胞は決して一様・均一ではなく,がんの悪性化を促進する細胞と抑制する細胞の二者が存在することが示唆されている。本稿ではがんの病態の理解におけるメカノバイオロジーの重要性と,間質を構成する線維芽細胞の多様性について筆者らの予備的な知見を加えて概説する。
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