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文献詳細

雑誌文献

生体の科学70巻4号

2019年08月発行

特集 メカノバイオロジー

Ⅲ.力学環境依存的な細胞の機能発現

脳発生に寄与するニューロン遊走のメカノバイオロジー

著者: 中澤直高1 見学美根子1

所属機関: 1京都大学高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)見学研究室

ページ範囲:P.317 - P.321

文献概要

 われわれの脳を構成するニューロンは,脳の発生過程においてそれらが産生された場所から機能する場所まで遊走し,皮質の特定の層構造や神経核の形成に寄与する。細胞遊走は細胞が持つ基本的な機能の一つであり,組織形成にとどまらず,免疫監査,損傷治癒など生体が持つ様々な機能に重要である。これまで,線維芽細胞などを用いた単一細胞,あるいは単層上皮細胞などを用いた集団細胞の細胞遊走ダイナミクスに関してメカノバイオロジーの観点から,“機械的な力”あるいは“(細胞内外の)機械的な性質”と細胞運動の関連が調べられてきた。しかしながら,ニューロン遊走ではこれらの間充織細胞とは異なる遊走ダイナミクスが観察されており,“ニューロン特有のメカノバイオロジー”が徐々に明らかとなってきた。本稿では,主にニューロン遊走における細胞核移動に着目し,発生脳の“機械的な力と性質”によるニューロン遊走の調節機構に関して近年報告されている知見を紹介する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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