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文献詳細

雑誌文献

生体の科学70巻4号

2019年08月発行

文献概要

特集 メカノバイオロジー Ⅳ.生体構造の力学モデリングとシミュレーション

1細胞統合モデルによる多細胞組織の形態予測

著者: 奥田覚12

所属機関: 1金沢大学新学術創生研究機構ナノ生命科学研究所 2科学技術振興機構さきがけ

ページ範囲:P.327 - P.332

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 近年の培養やイメージングの技術発展により,組織・器官の三次元的な構造形成の過程を1細胞スケールから観察することが可能になりつつある。この構造形成は,発生・代謝・疾患などの様々な生命現象にみられ,その機構を理解し制御することが望まれている。しかし,現在のところ,組織・器官の構造形成の機構には未知な点が多く,その過程を精密に制御することは難しい。これを実現するためには,これまでの分子生物学的な理解に加えて,組織・器官の構造形成を支配する“多細胞の力学”について理解し,その動態を予測する必要がある。筆者らは,この多細胞動態の予測を実現するため,「汎用三次元バーテックスモデル」と呼ばれる数理モデルを開発してきた。この数理モデルでは,1細胞スケールの力学的な振る舞いを統合的にモデル化することにより,物理法則に基づいて細胞間の相互作用を計算し,組織・器官スケールの三次元的な構造形成を予測する。本稿では,1細胞スケールからみた多細胞動態の自由度,そこから導入される汎用三次元バーテックスモデルの概要,および,幾つかの発生現象への適用例について紹介する。

参考文献

1)Davies J:Mechanisms of morphogenesis 2nd Edition, Academic Press, San Diego, 2013
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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