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文献詳細

雑誌文献

生体の科学70巻4号

2019年08月発行

文献概要

特集 メカノバイオロジー Ⅳ.生体構造の力学モデリングとシミュレーション

マルチスケール血流シミュレーションを用いた血行力学的刺激の予測

著者: 大島まり12

所属機関: 1東京大学大学院情報学環 2東京大学生産技術研究所 3

ページ範囲:P.339 - P.343

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 現在,わが国において,脳梗塞などの循環器系疾患は悪性新生物(がん)に次いで死亡率の高い疾患である。また,循環器系疾患は寝たきりになる例も多いため,患者本人だけでなく,家族にとっても身体的,そして経済的に負担が大きい。そのため,超高齢化社会のわが国において,循環器系疾患の予防は医療だけでなく,社会的にも重要な課題といえる1)
 循環器系疾患の発症には,血流のダイナミクスが重要な役割を果たしていることが指摘されている2-4)。血管内を血液が流れることにより,血管壁には次の3つの力学的刺激が負荷される。
 ①血圧による圧刺激(壁応力)
 ②血流によるずり刺激(壁面せん断応力)
 ③壁面の伸展による刺激(周方向引張り応力)
三層構造をなしている血管壁において,最も内側で血流と接している内壁を覆っているのが血管内皮細胞である。血管内皮細胞に対して,血流が血管壁に及ぼす3つの力学的刺激のなかで壁面せん断応力が,最も支配的な影響を与えることが知られている5)

参考文献

1)日本脳卒中学会:脳卒中治療ガイドライン2009.http://www.jsts.gr.jp/main08a.html
. 5:293-302, 1985
. 48:1-57, 1990
. 38:1924-1931, 2007
. 282:2035-2042, 1999
. 75:519-560, 1995
. 191:661-671, 2001
. 13:2153-2165, 2012
. 15:615-625, 2012
. 79:1534-1541, 2015
. 47:743-755, 2009
. 137:101011, 2015
. 44:2351-2363, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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