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増大特集 現代医学・生物学の先駆者たち Ⅵ.神経科学
小野武年(1938-)—「情動・記憶のしくみとはたらき」に関する先駆的研究
著者: 西条寿夫1
所属機関: 1富山大学医学薬学研究部(医学)システム情動科学
ページ範囲:P.454 - P.455
文献購入ページに移動 小野武年教授は,独自に開発した多連ガラス微小電極法を用いて,脳(視床下部)における各種代謝産物やホルモンなど生体の内部環境情報処理の神経化学機構をニューロン膜レベルで解明し,神経科学の発展に大いに貢献した。また,覚醒行動下動物の脳内各部位からニューロン活動を記録し,本能行動(摂食,飲水など),情動,認知・記憶・学習,予測や意思決定ならびに行動遂行との相関を解析する研究をいち早く始め,現在隆盛している「こころ」(情動・記憶:動物と人間に共通,人間独特の崇高または残虐な喜怒哀楽の感情)の神経科学的研究の源流となる研究をされた。
参考文献
1)小野武年:情動と記憶 しくみとはたらき,中山書店,東京,2014
2)小野武年:脳と情動-ニューロンから行動まで-,朝倉書店,東京,2012
3)小野武年(監修):情動学シリーズ(全10巻),朝倉書店,東京,2019
4)Ono T, Squire LR, Raichle M et al(Eds):Brain Mechanisms of Perception and Memory:From Neuron to Behavior, Oxford Univ Press, New York, 1993
5)Ono T, McNaughton BL, Molotchnikoff S et al(Eds):Perception Memory and Emotion:Frontiers in Neuroscience, Elsevier, Amsterdam, 1996
6)Ono T, Matsumoto G, Llinas RR et al(Eds):Cognition and Emotion in the Brain, Elsevier, Amsterdam, 2003
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