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特集 科学と芸術の接点
脳は美をどのように感じるのか?多様な美の正体を科学で探る
著者: 川畑秀明1
所属機関: 1慶應義塾大学文学部心理学研究室
ページ範囲:P.491 - P.494
文献購入ページに移動 ヒトは,芸術作品のみならず日常的な道具,自然の景色,人物の顔や姿,親と子どもとが遊んでいる場面や人が故人を悼み祈る姿など,様々な対象に対して美を感じる。ただし,何に対して美を感じるかは人それぞれであり,同じ個人においても時々によって変わり得る。例えば,草間彌生やFrank Stellaのような現代アートについて,ある人は彼らの作品を美しいと感じるだろうが,そう感じることがない人もいるであろう。では,なぜ,何に,そしてどのように美を感じ,美に駆り立てられるのであろうか。それらの問題については非常に古い哲学的起源があり,哲学や美学,芸術学による人文学的考察がプラトン(Plátōn)やアリストテレス(Aristotélēs)の時代に遡ると2000年以上にわたり行われ,また芸術家によって芸術表現という実践がなされてきた。一方で,美や芸術に関する実証的研究については150年ほどの歴史があり,ドイツで精神物理学を興したグスタフ・フェヒナー(Gustav Fechner)によって始められ,実験美学という心理学の一分野として発展した。更に脳研究における非侵襲による脳機能計測技術の台頭により,1990年代後半に神経美学という研究の枠組みが提示され,2000年代になって脳神経活動の働きとして美を感じる過程が捉えられるようになってきた。
参考文献
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