生体の科学70巻6号

2019年12月発行

特集 科学と芸術の接点

音楽と共感覚

著者： 伊藤浩介¹

所属機関： ¹新潟大学脳研究所統合脳機能研究センター

ページ範囲：P.504 - P.508

　Aさんは音を聞くと，目の前の風景をクレヨンで上書きするように色が見えるという。何色が見えるかは音の高さによる。例えば，ドなら赤，レならば黄色，ミはオレンジ，ファは青，ソは黄緑に近い緑である。数字や文字などにも色がある。3は緑であり，333は“すごく緑”に感じられる。
　Bさんも音に色を感じるが，その色はAさんのように外界に存在するように見えるのではなく，あくまでも心の中のイメージとして感じられるそうである。おそらく，共感覚のない筆者が心の中で赤色を想像する感じに近いと思う。また，Cさんは完全五度（ドとソ）や完全四度（ドとファ）の音程を聞くと四角張った立方体のような図形が頭の中に浮かび，三度（ドとミ）や六度（ドとラ）では新体操のリボンのようなものがくるくる回る。

参考文献

1）Cytowic RE, Eagleman DM：Wednesday Is Indigo Blue：Discovering the Brain of Synesthesia, MIT Press, Cambridge, 2009

2）Simner J , Hubbard EM：The Oxford Handbook of Synesthesia, Oxford University Press, New York, 2013

. 9：103, 2015

4）Wikipedia：List of people with synesthesia. https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_people_with_synesthesia

. 22：1069-1085, 2005

. 65：169-181, 2018

. 71：86-91, 2019

. 7：17781, 2017

. 15：760-769, 2005

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