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文献詳細

雑誌文献

生体の科学70巻6号

2019年12月発行

文献概要

特集 科学と芸術の接点

アートする非線形力学系としての身体

著者: 工藤和俊1 岡野真裕2

所属機関: 1東京大学大学院情報学環 2立命館大学立命館グローバル・イノベーション研究機構

ページ範囲:P.518 - P.521

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 踊ること,歌うこと,演奏することは,人間社会に遍く存在する文化芸術(アート)活動である。これらアーティスティックな活動においては,その表現のみならず創作に,身体と,身体を取り巻く環境が関与する。サッカー選手がボールに触れながら自らの姿勢を崩し揺り動かして新たなフェイント動作を探るように,ダンサーは音やリズムや重力に身を委ねながら身体協調の可能性を探索し,音楽家は自らや他者や環境が奏でた音と戯れながら新たな表現を創造する。
 これらのアートを生み出す身体は,身体を取り巻く環境がそうであるように非線形・非平衡開放系であり,この系の時間発展は非線形力学系モデルによって記述される1,2),注)。そこで本稿では,非線形力学系モデルによるアーティスティックな身体運動の解析例を紹介し,表現,熟達化,および創作にかかわる含意について議論する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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