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特集 科学と芸術の接点
芸術を生み出す脳—サヴァン症候群をめぐって
著者: 河村満12 花塚優貴3 緑川晶4
所属機関: 1奥沢病院 2昭和大学医学部脳神経内科 3中央大学人文科学研究所 4中央大学文学部人文社会学科
ページ範囲:P.531 - P.535
文献購入ページに移動本稿ではサヴァン症候群を例に,ある機能が障害を受けて低下するとその分,他の機能が亢進・向上する場合があるとする,筆者らが提唱した「おしくらまんじゅう仮説」について述べることとする。特に言語機能と芸術表現において重要な視空間能力がそれぞれ両立困難な関係になっていることについて,①先天的にサヴァン的な能力を示す自閉性サヴァン,②事故や疾患により後天的にサヴァン的な能力を発揮する獲得性サヴァン,③磁気や電流を脳に与え,一時的に脳機能を抑制することでサヴァンに似た能力を示すようになった一過性サヴァン,そして④人以外の動物におけるサヴァン様能力の研究例を紹介し,「おしくらまんじゅう仮説」について論じてみたい。
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