icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学70巻6号

2019年12月発行

文献概要

特集 科学と芸術の接点

サルにおける表情コミュニケーションと神経メカニズム

著者: 岩沖晴彦1 中村克樹1

所属機関: 1京都大学霊長類研究所高次脳機能分野

ページ範囲:P.536 - P.540

文献購入ページに移動
 われわれヒトは複雑な社会を形成し,その社会のなかで生活している。このような複雑な社会環境でうまく生きていくためには,他者とコミュニケーションを適切に行う必要がある。特に,同じ社会で暮らす他者に対して特定の対象に対する怒りや恐怖などの情動を素早く正確に伝え,相手の情動を読み取ることは,個体の生存だけでなく社会の維持にとっても非常に重要である。このような他者とのコミュニケーションの方法として,われわれは言語や表情,ジェスチャーなどを用いている。
 他者とのコミュニケーションに言語を使うのはヒトだけであるが,ヒト以外の霊長類でも音声,表情,ジェスチャーなどを使って他個体と情報をやり取りし,社会を形成している。なかでも,表情はよく研究され,表情と情動の関係性やヒトと非ヒト霊長類における表情の共通点について研究が進められてきた。本稿では霊長類において社会的コミュニケーションに重要な役割を持つ表情をテーマに,非ヒト霊長類における表情,そして表情と情動の心理学的理論について概観し,表情コミュニケーションに関与する神経メカニズムを検討する。

参考文献

1)van Hoff JARAM:The Facial Displays of the Catarrhine Monkeys and Apes, Primate Ethology, Chicago, 1967
2)Hauser MC:The Evolution of Communication, MIT Press, Cambridge, MA, 1996
. 95:93-100, 2008
. 38:127-138, 1997
. 56:190-201, 1991
6)Darwin C:Expression of the Emotions in Man and Animals, John Murray, Albemarle Street, London, 1872
. 53:712-717, 1987
8)Panksepp J:Affective Neuroscience:The Foundations of Human and Animal Emotions, Oxford University Press, New York, 1998
. 74:967-984, 1998
. 12:1-23, 2017
. 364:3459-3474, 2009
. 32:203-218, 1989
. 12:225-231, 2001
. 67:1447-1463, 1992
. 372:669-672, 1994
. 6:624-631, 2003
. 31:10371-10379, 2011
. 122:883-893, 1999
. 82:1610-1614, 1999
. 2:661-670, 2001
. 21:601-607, 2004
. 8:159-179, 2014
. 36:489-496, 2013
. 151:297-313, 2014
. 100:5497-5502, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?