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文献詳細

雑誌文献

生体の科学71巻1号

2020年02月発行

文献概要

特集 睡眠の制御と機能

非24時間睡眠-覚醒リズム障害の臨床と病態生理

著者: 三島和夫12

所属機関: 1秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 2筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構

ページ範囲:P.54 - P.58

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Ⅰ.非24時間睡眠-覚醒リズム障害の臨床特徴
 非24時間睡眠-覚醒リズム障害(non-24-hour sleep-wake rhythm disorder;N24SWD)はInternational Classification of Sleep Disorders 3rd edition(ICSD-3)1)に記述された概日リズム睡眠-覚醒障害の一型である。ICSD 2nd editionおよびICD-10-CM(code:G47.24)における概日リズム睡眠障害のフリーラン型(非同調型)に該当する。概日リズム睡眠-覚醒障害の下位疾患には,ほかに生物時計システムの機能障害に起因する内因性タイプとして,睡眠-覚醒相後退障害,睡眠-覚醒相前進障害,不規則睡眠-覚醒リズム障害がある。また,生物時計システム自体は正常でも,人為的に睡眠相をシフトさせることで不調が生じる交代勤務障害と時差障害がある(図1)。
 N24SWD患者は何らかの原因のために生物時計が24時間周期に同調できず,入眠・覚醒時刻が徐々に後退し,社会的に望ましい時間帯に睡眠を固定することが困難になる(図1)。生物時計の内因性周期に従って自由なスケジュールで生活している間はむしろ症状は目立たないが,出社や登校など社会スケジュールに適応しようとすると症状が顕在化する。生物時計位相と昼夜サイクルが同調(in-phase)している時期は無症状だが,徐々に入眠困難や覚醒困難が強まり,完全なout-phaseになると強い眠気,集中力の低下,倦怠感などが出現し,学業や仕事といった社会生活に支障が生じる。ICSDではこのような周期性の症状が3か月以上にわたり確認されることを診断の必須要項として求めている。N24SWDは若年発症例が多いこと,長期間にわたり(多くは生涯にわたり)罹病すること,難治性であることから,遅刻,能率低下,学業成績の不振,メンタルヘルスの不調などから職業上,社会生活上の機能障害が生じて退職や退学を余儀なくされる者も少なくない。概日リズム睡眠-覚醒障害のなかでも患者の生活機能を最も強く障害する病型の一つである。

参考文献

1)American Academy of Sleep Medicine:International Classification of Sleep Disorders, 3rd edition(ICSD-3), American Academy of Sleep Medicine, Darien, IL, 2014
2)Wever RA:The circadian System of Man:Results of Experiments Under Temporal Isolation, Springer-Verlag, New York, 1979
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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