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文献詳細

雑誌文献

生体の科学71巻2号

2020年04月発行

文献概要

特集 ビッグデータ時代のゲノム医学 Ⅰ.ゲノム医学の進歩

単一遺伝子病のゲノム解析の現状

著者: 三宅紀子1

所属機関: 1横浜市立大学医学部遺伝学

ページ範囲:P.97 - P.101

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 単一遺伝子疾患のゲノム解析は,ゲノム解析技術の革新により飛躍的に向上してきた(表1)1)。はじめに染色体全体を顕微鏡で可視化する方法が登場したが,この方法では,染色体の数の異常(異数体および倍数体)しかわからなかった。その後,様々な染色体分染法が開発され,バンドパターンの変化から染色体の大きめの変化がわかるようになった。その後,サンガー法(第一世代シークエンサー)やマイクロアレイが登場し,その解像度が一気に高まった。更に,2000年はじめより第二世代シークエンサーが登場し,網羅的かつ一塩基の解像度でゲノムを解読することが可能となった。この目覚ましい技術革新により,検出されるバリアント数は一個人あたり4-5百万個まで増加し,診断率は向上した。しかし,一方で予想していなかった変化(偶発所見)も検出されるようになった。
 ヒト単一遺伝子疾患のデータベースとしてOMIM(https://omim.org/)がある。2019年12月現在,8,992の単一遺伝子疾患が登録されている。そのうち疾患遺伝子が同定されているのは5,687疾患(63%)であり,まだ37%の疾患では遺伝要因が同定されていない。本稿では,ヒトの単一遺伝子疾患におけるゲノム解析の現状と,最近話題となっている新しいシークエンス技術に関して紹介する。

参考文献

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. 2019 Dec 10. doi:10.1002/humu.23964. [Epub ahead of print]

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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