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特集 ビッグデータ時代のゲノム医学 Ⅱ.がんのゲノム医学
がんゲノム医学の最前線
著者: 平田真1
所属機関: 1国立がん研究センター中央病院遺伝子診療部門
ページ範囲:P.119 - P.123
文献購入ページに移動 がんゲノム解析において,その対象となるゲノムは大きく2つに分類される。1つはがん組織由来のいわゆる体細胞遺伝子を対象とするものであり,もう1つは宿主側の生殖細胞系列遺伝子を対象とするものである。がんゲノムの医療における動きの一環として,2019年5月にがん遺伝子パネル検査が保険収載されるに至ったが,この検査は主に前者の体細胞遺伝子についてのゲノム解析であり,現状のがんゲノム医療では体細胞遺伝子が解析の主体となっている。しかし,医療の現場にがんゲノム解析が組み込まれるようになったといっても,意義づけが困難な遺伝子変異が検出されることや,検出された遺伝子変異に対応する治療薬がない,あるいは候補となる薬剤があったとしてもアクセスできないといった事例も多く発生しており,そのなかでがんゲノム医学として対応すべき課題も多く残されている。また,生殖細胞系列遺伝子を対象としたがんゲノム解析についても,がん罹患者のなかで遺伝性腫瘍患者の割合は5-10%といわれるが,そのなかで検出される遺伝子,バリアントは多彩であるうえ,同じ病的バリアント保有者であったとしても異なる表現型を示すこともあり,医療として実践していくうえではまだまだ多くの課題を克服する必要がある。
本稿では,がんゲノム中核拠点病院においてがん遺伝子パネル検査におけるエキスパートパネルに対応しながら,遺伝性腫瘍の診療と研究にあたっているという立場から,がん診療の側面からみたがんゲノム医療,がんゲノム医学の現状,そこから見えてくる課題について紹介し,がんゲノム医学の今後の更なる発展のために果たすべきミッションや方向性について個人的な見解を述べる。
本稿では,がんゲノム中核拠点病院においてがん遺伝子パネル検査におけるエキスパートパネルに対応しながら,遺伝性腫瘍の診療と研究にあたっているという立場から,がん診療の側面からみたがんゲノム医療,がんゲノム医学の現状,そこから見えてくる課題について紹介し,がんゲノム医学の今後の更なる発展のために果たすべきミッションや方向性について個人的な見解を述べる。
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