icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学71巻3号

2020年06月発行

特集 スポーツ科学—2020オリンピック・パラリンピックによせて

アスリートの睡眠と時差調整

著者: 星川雅子1

所属機関: 1国立スポーツ科学センタースポーツ研究部

ページ範囲:P.243 - P.248

文献概要

 睡眠は,心身両面の休息・回復のほか,意欲,気分,集中力,判断力,記憶力など高次機能を保つために重要な役割をしているといわれる1)。アスリートにおいてもそれは同様であり,夜間睡眠の制限・断眠がスポーツパフォーマンスに悪影響2-5)を,夜間睡眠の延長が好影響6)を及ぼすこと,午後の仮眠が夕刻のパフォーマンスに好影響を及ぼすこと7-9)などが報告されている。また,ふだん8時間の夜間睡眠をとっている人が5時間睡眠を1週間続けたところ,成長ホルモンの分泌量(1日あたり)が減少したという報告10)もあり,レジスタンストレーニングの効果に影響を及ぼす可能性もある。
 近年,コンディショニングの一環として,睡眠に心を配るアスリートが増えつつある。睡眠は,質,時間,リズム(スケジュール)の点から評価されるが,忘れてはならないのは,「日中に眠気がなく,状態よく活動できるか」という視点である。そして睡眠の状態がよくないと評価された場合,睡眠障害のようにドクターに相談すべき状態と,睡眠衛生のように相談相手がかならずしもドクターでなくてもよい状態のどちらかを判断し,対処することとなる。

参考文献

1)内田淳子,内田 直:アスリートの睡眠管理.日本スポーツ精神医学会(編):スポーツ精神医学,第1版,pp18-20.診断と治療社,東京,2009
. 37:107-115, 1994
. 63:77-82, 1991
. 44:503-510, 2013
. 26:756-768, 2009
. 34:943-950, 2011
. 25:1557-1566, 2007
. 2:e341, 2007
. 9:112-116, 2016
. 305:2173-2174, 2011
. 33:819-824, 2010
. 16:850-858, 2016
. 35:704-710, 2017
.15:187-193, 2007
. 11:126-132, 2017
16)木暮貴政,小林美奈,井上雄一:シート型体振動計による周期性四肢運動障害のスクリーニングに関する研究,日本睡眠学会第41回定期学術集会抄録集,244,2016
. 4:10, 2018
18)星川雅子:アスリートの睡眠管理.日本スポーツ精神医学会(編):スポーツ精神医学,改訂第2版,pp25-31.診断と治療社,東京,2018
19)堀 忠雄:生体リズムの調整と改善法.堀 忠雄,白川修一郎,福田一彦(監修),日本睡眠改善協議会(編):応用講座睡眠改善学,pp2-9.ゆまに書房,東京,2013
. 2:711, 2012
. 4:e6909, 2009
. 113:2603-2611, 2013
. 133:36-40, 1991
. 95:3325-3331, 2010
. 4:456-461, 2008
. 6:17-28, 2008
27)星川雅子:睡眠について.JOC Conditioning Guide for Rio 2016,(公財)日本オリンピック委員会情報・医・科学専門部会科学サポート部門/医学サポート部門(編):pp14-17,2016.https://www.joc.or.jp/games/ olympic/riodejaneiro/pdf/conditioning_guide_rio2016.pdf(2020/2/13アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら