icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

生体の科学71巻6号

2020年12月発行

雑誌目次

特集 新組織学シリーズⅠ:最新の皮膚科学

特集「新組織学シリーズⅠ:最新の皮膚科学」によせて

著者: 佐藤伸一

ページ範囲:P.536 - P.536

 皮膚は人体をおおい,外界との境界をなすが,単なる隔壁ではなく,それ自体生命の保持に絶対不可欠の多彩な機能を営む重要な臓器である。また,皮膚は人体最大の臓器でもあり,その面積は成人で平均1.6m2,皮膚のみの重量は3kg弱,皮下組織も加えると約9kgで体重の14%に及ぶ。皮膚の機能としては,対外保護作用を有することはいうまでもないが,加えて体温調節作用,知覚作用,エクリン汗腺・アポクリン汗腺・脂腺からの分泌排泄作用,コレステロール・ビタミンD3などを合成する作用,多様なサイトカインの産生による免疫調節機能など,生体に必須の機能を担っている。
 前述のような皮膚の古典的な機能のなかでも,特に皮膚は外界と直接接する臓器であることから,免疫が展開される重要な場であることが認識されている。この観点から皮膚免疫を可視化する試みも広く行われており,本田哲也先生(浜松医科大学)に解説していただいた。また,脂質代謝という観点から皮膚の重要性,そして疾患との関連性については住田隼一先生(東京大学)に触れていただいた。

皮膚免疫のイメージング

著者: 本田哲也

ページ範囲:P.537 - P.542

 皮膚は生体の最外層に位置する人体最大の臓器であり,生体の水分保持や外界からの刺激に対する“物理的バリア”,免疫応答を介した生体防御の最前線として“免疫学的バリア”という極めて重要なバリアの役割を果たしている。皮膚に侵入した多種多様な抗原に対し,種々の免疫細胞は迅速に応答し,病原体の排除を行う必要がある。一方で,過剰な免疫応答は自己の障害につながるため,生体は免疫応答を負に制御するメカニズムも有している。これらのメカニズムについて,従来,細胞培養系やex vivoの系での解析が中心であったが,近年,生体内での細胞動態を直接的に観察する“ライブイメージング”という手法が導入され,生体内での免疫反応を可視化することが可能となってきた。
 本稿では,ライブイメージング,特に多光子励起顕微鏡を用いて明らかとなった,皮膚での免疫細胞の動態,その制御機構,意義について,筆者らのこれまでの研究成果を含め紹介する。

皮膚バリアの構造・機能とアレルギー

著者: 久保亮治

ページ範囲:P.543 - P.548

 皮膚のバリア障害を端緒として,様々なアレルゲンに対して経皮感作が起こりやすくなることにより,アトピー性皮膚炎や食物アレルギー,喘息など様々なアレルギー疾患が引き起こされることが明らかになってきた。一方,炎症が生じている皮膚では,炎症によってバリア障害が引き起こされるだけでなく,表皮ランゲルハンス細胞や表皮内に投射する神経の挙動も変化し,経皮感作や痒み刺激が促進されるしくみがあることが明らかになりつつある。本稿では,皮膚の表皮が持つバリアの構造と機能を解説し,アレルギー疾患との関わりについて論じたい。

皮膚における脂質代謝とその役割

著者: 住田隼一

ページ範囲:P.549 - P.554

 皮膚は重量にして最大の臓器であり,外界と生体の境界に位置する臓器として多彩な機能を発揮している。皮膚の重要な機能としてバリア機能があるが,最外層である表皮とそれを構成する角化細胞(ケラチノサイト)が特に重要な役割を果たしており,表皮内の角層では,皮脂,角質細胞間脂質,天然保湿因子などが重要な因子として知られている。先天的あるいは後天的な脂質代謝異常は様々な皮膚疾患を引き起こすが,先天的な遺伝子異常によるものとしては,先天性魚鱗癬が代表的である。また,代謝異常により脂質の低下が生じると,皮膚バリア機能が低下することとなり,結果,外来抗原が体内に侵入し感染症が生じたり,アレルゲンや有害物質などにより免疫系が過剰に活性化すると,アトピー性皮膚炎などの様々な免疫関連皮膚疾患が生じる。脂質の観点から皮膚におけるバリア機能や免疫機能を理解することは,皮膚の恒常性維持の理解のみならず,その破綻に基づく皮膚疾患の制御や治療法の開発を目指すうえで重要である。

自己炎症性角化症という新しい疾患概念について

著者: 杉浦一充

ページ範囲:P.555 - P.560

 自己炎症性角化症とは,表皮角化細胞に存在する自然免疫に関連するタンパク質をコードする,1遺伝子の変異ないし多型を病因とする,炎症性角化症を発症する疾患群である。蕁麻疹様皮疹を来す自己炎症性疾患とは皮膚所見が異なるという観点から,2017年に提唱された。当初,自己炎症性角化症にはIL-36受容体拮抗因子欠損症(deficiency of interleukin-thirty six receptor antagonist;DITRA),CARD14関連乾癬(CARD14 mediated psoriasis;CAMPS),familial keratosis lichenoides chronica(FKLC)が含まれていたが,遺伝性皮膚疾患の研究の進展により,自己炎症性角化症に含まれる疾患も拡大しつつある。

乾癬の病態メカニズム

著者: 鎌田昌洋

ページ範囲:P.561 - P.566

 乾癬は鱗屑を伴い浸潤の触れる紅斑を呈する慢性炎症性皮膚疾患であり,生活の質を著しく障害する(図1)。乾癬の病態は,以前は皮膚の異常による疾患,つまり表皮角化細胞(ケラチノサイト)の異常と考えられてきたが,シクロスポリンが効果を示すことから免疫異常の関与,特にT細胞の関与が示唆された。いまだ乾癬の病態メカニズムはわからないことも多いが,近年,基礎研究の面からだけでなく,サイトカインや受容体を特異的に阻害する生物学的製剤の臨床試験での治療効果から,飛躍的に病態の解明が進んだ。本稿では,現在考えられている乾癬のメカニズムについて述べたい。

天疱瘡における自己反応性T細胞とB細胞の役割

著者: 高橋勇人

ページ範囲:P.567 - P.572

 天疱瘡は,重層扁平上皮に発現するカドヘリン型接着分子であるデスモグレイン(Dsg)に対する自己抗体により生じる自己免疫性水疱症の一つである。自己抗体がDsgによる細胞接着を阻害することにより,皮膚や口腔粘膜などにびらん・水泡が生じる重篤な自己免疫疾患である。天疱瘡でみられる表皮内水疱は,病理学的には角化細胞の変性を伴わずに細胞同士が解離しており,棘融解といわれる。
 DsgにはDsg1-4があり,天疱瘡は抗Dsg3抗体により生じる尋常性天疱瘡(pemphigus vulgaris;PV),抗Dsg1抗体により生じる落葉状天疱瘡(pemphigus foliaceus;PF),腫瘍に合併し特異な経過をたどる腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus;PNP)の大きく3つに分類される。自己抗体により生じる天疱瘡のモデルとして,Dsg3分子に注目しPVモデルマウスが開発され,天疱瘡の病態解析がなされてきた。天疱瘡においてなぜ自己抗体が生じるのか,という究極の問いに関しての答えはいまだに得られていないが,自己抗体による水疱形成機序やB細胞から抗Dsg3抗体を産生させるT細胞の性質などについては,動物モデルを用いて飛躍的に解析が進んだ。また,動物モデルの解析により,Dsg3に対する自己免疫応答が天疱瘡という病態のみを誘導するだけでなく,interface dermatitisという病理学的変化をとる皮膚炎も誘導し得ることがわかってきた。

自己反応性B細胞の病原性について

著者: 吉崎歩

ページ範囲:P.573 - P.578

 自己免疫疾患はいまだ病態に明らかでない部分が多いが,その名に冠するとおり自己免疫が病態形成に大きく関わっていると考えられている。数々の基礎的研究に加え,多くの自己免疫疾患に対する治療としてステロイドや免疫抑制薬が一定の有効性を発揮することも,自己免疫疾患における自己免疫異常の存在を裏づけている。しかしながら,ステロイドや免疫抑制薬による治療は効果が限定的である場合も多く,また,これらの治療は免疫系の機能を全般的に抑制するため,感染症などの副作用が常に問題となっている。したがって,自己免疫疾患の詳細な病態の理解と,これに基づく治療ターゲットの明確化と治療法の開発は喫緊の課題である。近年,B細胞は従来から認識されていた抗体産生能以外にも様々な機能を有しており,免疫系において中心的な役割を果たしていることが知られるようになってきた。更には,B細胞除去療法が多くの自己免疫疾患に対して有効であることが明らかとされ,B細胞が自己免疫疾患においても中心的な役割を担っていることが示唆されている。
 本稿では,B細胞に焦点を当て,自己免疫疾患において特に重要と思われる自己反応性B細胞の病原性について概説した。

筋炎特異的自己抗体による皮膚筋炎のサブグループ

著者: 沖山奈緒子

ページ範囲:P.579 - P.584

 炎症性筋疾患(idiopathic inflammatory myopathies;IIMs)は,皮膚筋炎(dermatomyositis;DM),多発性筋炎(polymyositis;PM),封入体筋炎(inclusion body myositis;IBM)に免疫介在性壊死性ミオパチー(immune-mediated necrotizing myopathy;IMNM)が加わった疾患群で,筋炎特異的自己抗体(miositis-specific autoantibodies;MSAs)が検出されることから自己免疫を基盤とした筋炎であると考えられる。なかでも,DMにおける診断価値のある臨床症状は,皮膚症状(ヘリオトロープ疹,ゴットロン丘疹・徴候),筋炎,全身炎症所見と関節炎,間質性肺疾患(interstitial lung disease;ILD)である。DMは,様々な特徴のある皮膚症状・筋炎・ILDを,様々な程度で発症するスペクトラムといえる。また,内臓悪性腫瘍の合併も問題になる。
 MSAsの多くは,DM患者より同定されている。DM患者のほとんどは,抗Jo-1抗体を含めた抗アミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase;ARS)抗体,抗melanoma differentiation antigen 5(MDA5)抗体,抗transcriptional intermediary factor 1(TIF1)-γ抗体,抗Mi2β抗体,抗nuclear matrix protein 2(NXP2)抗体,抗small ubiquitin-like modifier 1 activation enzyme(SAE)抗体のどれかを持つ。ただし,抗ARS抗体陽性例は臨床像は筋炎もしくはILDのみの症例もあり,抗NXP2抗体陽性例には皮膚症状を欠くDM sine dermatitisと呼べる症例が存在する1)

転写因子研究から見えてきた全身性強皮症の新しい病態理解

著者: 浅野善英

ページ範囲:P.585 - P.590

 全身性強皮症(systemic sclerosis;SSc)は,皮膚および内臓諸臓器の血管障害と線維化を特徴とする全身性の自己免疫疾患である。その病因はいまだ不明だが,疫学研究,遺伝子解析研究,および患者由来の臨床検体を用いた研究により,様々な病態仮説が提唱されてきた。近年の動物モデル研究や分子標的療法の発展により病態仮説の妥当性が検証され,その病態理解は更なる進歩を遂げている。
 本稿では,まずSScの基本病態について概説し,次に3つの転写因子(FLI1,KLF5,IRF5)に着目した基礎研究から見えてきたSScの新たな病態理解について解説する。

スティーブンス・ジョンソン症候群/中毒性表皮壊死症の発症機序

著者: 長谷川瑛人 ,   阿部理一郎

ページ範囲:P.591 - P.596

 Stevens-Johnson症候群(SJS)/中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis;TEN)は,発熱,広範囲の紅斑・びらん・水疱,粘膜疹を伴う重篤な疾患である。薬剤のほか,マイコプラズマやウイルスなどの感染症が原因となる1)
 SJS/TENは重症度の異なる,同一スペクトラムの疾患と考えられている。わが国における診断基準では,水疱・びらんなどの表皮剝離面積が体表の10%未満であればSJS,10%以上であればTENと診断される2)。これらはまれな疾患ではあるが,その死亡率は非常に高い(SJS:4.8%,TEN:14.8%)3)。また,SJS/TENは治癒後にも視力低下や失明などの後遺症を残すことがあるため1),早期に診断し適切な治療を行うことが必要とされる。

皮膚T細胞リンパ腫における免疫チェックポイント分子

著者: 宮垣朝光

ページ範囲:P.597 - P.601

 ヒトの免疫系には,外来抗原や自己に対する過剰な免疫応答を抑えるためのフィードバック機構が備わっている。そのような機構を免疫チェックポイント機構と呼び,複数の免疫チェックポイント分子の存在が知られている。代表的な免疫チェックポイント分子はPD-1とCTLA-4であり,共にT細胞上に発現し,リガンドと結合することでT細胞に抑制性のシグナルを入れている。ところで,がん細胞には免疫系に認識されるがん関連抗原が存在することが知られている。そのため,増殖し顕在化したがん組織に対しては,このようながん抗原を標的とした免疫反応が存在することが予想される。しかしながら,がん患者で認められるがん抗原に対する免疫反応は多くの場合極めて微弱である。腫瘍微小環境では,前述の免疫チェックポイント機構が過剰に作用し,抗腫瘍免疫を抑制しているため,腫瘍の免疫回避が起こっていることが近年明らかになってきた。実際に,免疫チェックポイント経路を阻害する抗PD-1抗体や抗CTLA-4抗体は,T細胞を活性化させ抗腫瘍免疫を増強することで腫瘍細胞を排除することができるため,様々ながん腫で臨床応用されている。
 皮膚を原発臓器とした非ホジキンリンパ腫である皮膚リンパ腫の70-80%はT細胞性であり,皮膚T細胞リンパ腫(cutaneous T-cell lymphoma;CTCL)と呼ばれる。CTCLには複数の病型が含まれているが,代表的な疾患は菌状息肉症(mycosis fungoides;MF)とセザリー症候群(Sézary syndrome;SS)である。MFは,皮膚に紅斑や浸潤局面が多発し,年余にわたって経過する生命予後良好なCTCLとされているが,一部の患者は腫瘤形成やリンパ節浸潤,内臓浸潤を伴う進行期に進展し,不良な経過をたどる。SSは紅皮症(全身の皮膚の80%以上に紅斑,浸潤局面などを呈する状態),末梢血中腫瘍細胞,表在リンパ節腫脹を三主徴とする進行の速いCTCLである。MF,SSの腫瘍細胞はCD4 CD45ROのメモリーT細胞由来で,Th2や制御性T細胞のフェノタイプを一部有しており,一部の免疫チェックポイント分子が発現していることが報告されている。それらの分子がMF,SSの進展や免疫回避において,どのような役割を担っているのかは非常に興味深い。本稿では,MF,SSにおける免疫チェックポイント分子およびその周辺の分子の発現や機能について概説する。

メラノーマの新たな治療標的

著者: 猪爪隆史

ページ範囲:P.602 - P.607

 免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体,抗PD-L1抗体,および抗CTLA-4抗体,以下ICI)や低分子化合物(BRAF/MEK阻害剤など)によって,進行期メラノーマの予後が大幅に改善した。しかし,治療抵抗性を克服したり,より多くの患者に適用したりするためには,できるだけ多くの治療標的に対応できる薬剤が必要である。本稿では,最新のがん免疫研究とがん遺伝子研究をもとに,ICIと低分子化合物,それぞれの有望な新規治療標的を紹介する。

連載講座 新しい光学系を使って広がる顕微鏡の世界−2

広視野多光子照明と光操作—多光子パターン照明

著者: 磯部圭佑

ページ範囲:P.608 - P.613

 近年,三次元分解能を有する光学顕微鏡を用いた三次元組織のタイムラプスイメージングによって,複雑な生命現象における多細胞の相互作用を観察できるようになってきている。また,観察するだけではなく,細胞間における入出力応答を調べるための光操作技術も近年注目されている。特に,光操作技術としては,チャネルロドプシンを神経細胞に発現させ,光照射で神経発火を操作するようなオプトジェネティクス1)と,励起光をパターン照射する光制御技術2)が重要になっている。本稿では,読者にとってあまり馴染みがないと思われるパターン照明技術について紹介する。
 蛍光イメージングでは,空間分解能は励起と検出の両方で決定され,共焦点顕微鏡3)や構造化顕微鏡4)のように,焦点面以外で発生する蛍光の除去や画像処理によって,深さ方向の分解能を得る顕微鏡技術がある。しかし,光操作では,励起における深さ方向の分解能がなければ,深さの異なる非標的細胞を意図せず操作することにつながり,アーティファクトとなる。そのため,非標的細胞を励起しないパターン照明技術が必要である。光操作におけるパターン照明には,光信号処理で培われてきたホログラフィー技術5)が用いられている。ホログラフィー技術では,光の位相を制御することによってパターン照明を行う。しかし,散乱のきつい組織のような試料内部にパターン照明を行うには,ホログラフィー技術だけでは実用化が難しい。実用化するために,ホログラフィー技術に前回の連載講座(71巻2号pp169-173)6)で紹介した時空間集光技術7)を組み合わせる試み8)が行われているので紹介する。

実験講座

CRISPR/Cas9による遺伝学的スクリーニングシステムの開発

著者: 樽本雄介 ,   遊佐宏介

ページ範囲:P.614 - P.619

 近年のゲノム編集技術の発達により,多くの生物種において遺伝学的な解析が可能となった。なかでも,CRISPR/Cas9を利用したシステムはガイドRNAの配列を変更するだけで多数の遺伝子を標的とすることが可能であり,扱いが簡便で汎用性が高いことから広く普及している。本稿では,CRISPR/Cas9を用いたノックアウトによる順遺伝学的スクリーニングに関する知見を中心に解説する。

解説

世界と日本におけるHuman Cell Atlasへの取り組み

著者: 安藤吉成 ,   ,  

ページ範囲:P.620 - P.624

 ヒトの体は,様々なタイプの37兆個を超える細胞から構成され,それぞれの細胞が相互に作用しながら,様々な機能を果たしていると考えられている。Human Cell Atlas(HCA)は,“生体の基本単位”である個々の細胞を,種類・状態・系統などを分類・カタログ化・位置情報を明確化することにより,ヒトの健康状態を理解し,病気の診断・検査・治療に用いることができる,人体のリファレンスアトラス「ヒト細胞アトラス」の作成を目的とした,世界的なイニシアチブ(構想)である。「ヒト細胞アトラス」はオープンアクセスリソースとして誰でも利用でき,臓器,組織,システム,細胞と,各細胞タイプの位置と分子の詳細を順に参照することができるようになる。研究者はヒトの生物学をよりよく理解し,医療関係者は疾患ごとに変化する細胞タイプを特定し,新しい診断と治療法の発見を導くことが期待される。本稿では,世界と日本におけるHuman Cell Atlasへの取り組みを紹介したい。

--------------------

目次

ページ範囲:P.535 - P.535

財団だより

ページ範囲:P.572 - P.572

次号予告

ページ範囲:P.624 - P.624

書評

著者: 石野史敏

ページ範囲:P.625 - P.625

あとがき

著者: 野々村禎昭

ページ範囲:P.626 - P.626

 世界中をCOVID-19が荒らし回って人々は鬱々としており,そのうえ経済的にも危険な状態で皆心配しています。科学者はそんなふうではいけない,どんな困難でも乗り越えていかなければと,科学的な成果は結構集まっています。このような状況下で,我々「生体の科学」も頑張っていくつもりです。
 本誌では,10年に1度くらいずつ組織シリーズの特集を組んできました。ただ,そのシリーズは内臓組織に限られていました。今回の組織シリーズは,生体の一番外から中へと入っていこうと思います。はじめは当然皮膚で,次は骨格筋になります。そして微小血管,末梢神経へと続く予定です。幸い皮膚,骨格筋は最近進歩の著しい領域です。

生体の科学 第71巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

生体の科学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1883-5503

印刷版ISSN 0370-9531

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

icon up
あなたは医療従事者ですか?