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特集 新組織学シリーズⅠ:最新の皮膚科学
文献概要
皮膚は重量にして最大の臓器であり,外界と生体の境界に位置する臓器として多彩な機能を発揮している。皮膚の重要な機能としてバリア機能があるが,最外層である表皮とそれを構成する角化細胞(ケラチノサイト)が特に重要な役割を果たしており,表皮内の角層では,皮脂,角質細胞間脂質,天然保湿因子などが重要な因子として知られている。先天的あるいは後天的な脂質代謝異常は様々な皮膚疾患を引き起こすが,先天的な遺伝子異常によるものとしては,先天性魚鱗癬が代表的である。また,代謝異常により脂質の低下が生じると,皮膚バリア機能が低下することとなり,結果,外来抗原が体内に侵入し感染症が生じたり,アレルゲンや有害物質などにより免疫系が過剰に活性化すると,アトピー性皮膚炎などの様々な免疫関連皮膚疾患が生じる。脂質の観点から皮膚におけるバリア機能や免疫機能を理解することは,皮膚の恒常性維持の理解のみならず,その破綻に基づく皮膚疾患の制御や治療法の開発を目指すうえで重要である。
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