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文献詳細

雑誌文献

生体の科学71巻6号

2020年12月発行

文献概要

特集 新組織学シリーズⅠ:最新の皮膚科学

皮膚における脂質代謝とその役割

著者: 住田隼一1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科皮膚科

ページ範囲:P.549 - P.554

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 皮膚は重量にして最大の臓器であり,外界と生体の境界に位置する臓器として多彩な機能を発揮している。皮膚の重要な機能としてバリア機能があるが,最外層である表皮とそれを構成する角化細胞(ケラチノサイト)が特に重要な役割を果たしており,表皮内の角層では,皮脂,角質細胞間脂質,天然保湿因子などが重要な因子として知られている。先天的あるいは後天的な脂質代謝異常は様々な皮膚疾患を引き起こすが,先天的な遺伝子異常によるものとしては,先天性魚鱗癬が代表的である。また,代謝異常により脂質の低下が生じると,皮膚バリア機能が低下することとなり,結果,外来抗原が体内に侵入し感染症が生じたり,アレルゲンや有害物質などにより免疫系が過剰に活性化すると,アトピー性皮膚炎などの様々な免疫関連皮膚疾患が生じる。脂質の観点から皮膚におけるバリア機能や免疫機能を理解することは,皮膚の恒常性維持の理解のみならず,その破綻に基づく皮膚疾患の制御や治療法の開発を目指すうえで重要である。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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