文献詳細
連載講座 新しい光学系を使って広がる顕微鏡の世界−2
広視野多光子照明と光操作—多光子パターン照明 フリーアクセス
著者: 磯部圭佑12
所属機関: 1理化学研究所光量子工学研究センター 2京都大学大学院生命科学研究科先端イメージング学講座
ページ範囲:P.608 - P.613
文献概要
蛍光イメージングでは,空間分解能は励起と検出の両方で決定され,共焦点顕微鏡3)や構造化顕微鏡4)のように,焦点面以外で発生する蛍光の除去や画像処理によって,深さ方向の分解能を得る顕微鏡技術がある。しかし,光操作では,励起における深さ方向の分解能がなければ,深さの異なる非標的細胞を意図せず操作することにつながり,アーティファクトとなる。そのため,非標的細胞を励起しないパターン照明技術が必要である。光操作におけるパターン照明には,光信号処理で培われてきたホログラフィー技術5)が用いられている。ホログラフィー技術では,光の位相を制御することによってパターン照明を行う。しかし,散乱のきつい組織のような試料内部にパターン照明を行うには,ホログラフィー技術だけでは実用化が難しい。実用化するために,ホログラフィー技術に前回の連載講座(71巻2号pp169-173)6)で紹介した時空間集光技術7)を組み合わせる試み8)が行われているので紹介する。
参考文献
掲載誌情報