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文献詳細

雑誌文献

生体の科学72巻2号

2021年04月発行

文献概要

特集 組織幹細胞の共通性と特殊性 Ⅱ.幹細胞による組織・臓器構築:Q.発生学における幹細胞の位置づけとは?

脳の進化をつかさどる神経幹細胞

著者: 今泉研人1 岡野栄之1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部生理学教室

ページ範囲:P.125 - P.129

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 中枢神経系を構成する細胞は神経幹細胞という単一の幹細胞から発生し,その分化制御のメカニズム研究は,神経発生学や神経再生研究における中心的なテーマの一つである。また,神経幹細胞は,成体におけるニューロン新生に関与することが明らかになってからは,神経機能研究,精神疾患の基盤の理解という観点から研究対象を広げてきた。更にその一方で,脳の進化において神経幹細胞が担う役割が大きく注目され始めている。脳,特に大脳皮質は,進化の過程で霊長類出現以降に大きく増大し,ヒト特異的な高い知能に寄与してきた。この現象は,ゲノム情報の変化に基づく神経幹細胞の種特異的な特性の獲得によることが明らかになりつつある。
 本稿では,神経幹細胞の役割を脳進化の側面から考察し,特にヒト特異的な神経幹細胞制御機構を通しての脳進化のメカニズム研究について紹介する。また,従来の動物モデルではアプローチ困難であるヒト特異的神経発生機構の研究の,今後の展開について考察する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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