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文献詳細

雑誌文献

生体の科学72巻2号

2021年04月発行

文献概要

特集 組織幹細胞の共通性と特殊性 Ⅱ.幹細胞による組織・臓器構築:Q.発生学における幹細胞の位置づけとは?

細胞系譜特異的な前駆細胞に基づく腎臓の再構成

著者: 小林明雄1 西中村隆一1

所属機関: 1熊本大学発生医学研究所腎臓発生分野

ページ範囲:P.135 - P.140

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 腎臓は,血液の浄化や生体のイオンバランスの維持に必須な臓器である。腎臓は様々な組織から成り,主にネフロン,集合管,間質から構成される(図1)。腎臓の機能単位であるネフロンは血管と相互作用することで,血液中の老廃物を濾過して取り除き,水分やイオンの受け渡しを行う。ネフロンで産生された血液老廃物や水分・イオンは尿となり,集合管を通じて膀胱へ移動し,更には体外へと排出される。これらネフロンや集合管などの上皮組織は,間質によって囲まれている(図1)。
 ヒトの腎臓には約100万個のネフロンが存在しており,ネフロン数と腎機能の間には正なる相関があることが知られている1)。哺乳類において,ネフロンは発生期にのみ産生され,成体で新しくネフロンが作られることはない。よって腎臓内のネフロン数は,生後増加することなく次第に減少し,一定数を下回ると慢性腎臓病(CKD)となる。現在の腎臓病の治療には,主に透析と腎移植が用いられている。しかし,腎臓病患者は生涯にわたり頻繁に透析を受け続けなくてはならず,また,腎移植のための腎臓の提供は極めて限られている。現在,これらの問題の解決策として再生医療が注目されており,多能性幹細胞由来の腎臓オルガノイド作製など様々な研究が行われている。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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