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文献詳細

雑誌文献

生体の科学72巻2号

2021年04月発行

文献概要

特集 組織幹細胞の共通性と特殊性 Ⅳ.幹細胞のクローン性増殖とAging:Q.幹細胞のLife Cycle

クローン解析で見えてきた造血幹細胞の加齢性変化

著者: 山下真幸1 岩間厚志1

所属機関: 1東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター幹細胞分子医学分野

ページ範囲:P.160 - P.165

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 造血幹細胞は自己複製と多分化能を併せ持ち,すべての系統の血液細胞を長期にわたって産生することのできる造血系で唯一の細胞集団である。しかし,造血幹細胞の自己複製には限界があり,加齢と共に造血幹細胞の機能が失われる結果,貧血や免疫異常など,血液ホメオスタシス破綻を生じてしまう。したがって,造血老化を食い止めるためには,造血幹細胞の加齢性変化を理解し,それに基づいて造血幹細胞の機能低下を防止することが重要となる。最近のクローン解析技術の進歩により,発生過程で生じた個々の造血幹細胞クローンは機能的に不均一であることが明らかとなり,機能の偏った造血幹細胞のクローン拡大が造血老化の本質と考えられるようになってきた。ヒトにおいては,加齢と共にゲノム異常を持った白血球が末梢で長期間にわたって検出される,いわゆるクローン性造血の存在が明らかにされ,白血病などの造血器腫瘍が発症する素地として,また心筋梗塞や脳卒中といった心血管系疾患の重要なリスク因子として注目されている。
 そこで本稿では,発生期から老年期に至るまでの造血幹細胞のクローン性変化に着目し,加齢に伴って生じる造血幹細胞の機能低下とクローン性造血発生のメカニズムについて最新の動向を交えながら考察する。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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