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特集 生物物理学の進歩—生命現象の定量的理解へ向けて Ⅰ.分子レベル
生きている細胞の非平衡力学
著者: 水野大介1 杉野裕次郎1
所属機関: 1九州大学大学院理学研究院物理学部門複雑生命物性講座
ページ範囲:P.206 - P.211
文献購入ページに移動モータータンパク質に典型的にみられるとおり,生体高分子機械が稼働するためには分子の形態が変化できること(身動きできること)や,関連する分子が速やかに供給・排出される必要がある。したがって,細胞内の生体高分子機械が担う代謝活動は,細胞質の“動きやすさ”,つまりは力学的な特性に強く影響される。例えば,図1Bのように細胞内部にはタンパク質や核酸が濃厚に混み合って存在しているため,本来生体高分子機械は身動きがとりにくいはずである。しかしながら驚くべきことに,モーター分子はこのような混み合い環境下で,希薄な
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