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文献詳細

雑誌文献

生体の科学72巻3号

2021年06月発行

文献概要

特集 生物物理学の進歩—生命現象の定量的理解へ向けて Ⅲ.個体,進化レベル

モルフォゲン濃度勾配を介した組織パターン形成

著者: 猪股秀彦1

所属機関: 1理化学研究所生命機能科学研究センター体軸動態研究チーム

ページ範囲:P.250 - P.254

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 発生の進行に伴い,胚は単純な組織パターンをより複雑化させ,多種多様な器官を構築する。このような組織パターンを再現性よく形づくるには,胚を構成する個々の細胞間コミュニケーションが重要である。細胞間コミュニケーションには近隣細胞にのみ情報を伝達する機構から,長距離に情報を伝達する機構まで多様な種類が存在する。Notchシグナルに代表される機構では,細胞膜表面に提示された膜貫通タンパク質を介して隣接する細胞にシグナルが伝達され,1細胞レベルの微細な組織パターンを形成する1)。例えば,有毛細胞のごま塩模様はNotchシグナルの側方抑制によって制御されている。一方,胚・組織全体の大まかなパターンを構築するには,遠位に情報を伝達する必要がある。このような長距離伝達を担う分子として,分泌タンパク質モルフォゲンが存在する。モルフォゲンは細胞間隙を拡散することで濃度勾配を形成し,濃度依存的に様々な組織を誘導する。本稿では,モルフォゲン濃度勾配を介した組織パターン形成を中心に紹介し,更なる進展に必要と思われる解決すべき問題点に関して私見を述べる。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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