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雑誌文献

生体の科学72巻4号

2021年08月発行

文献概要

解説

細胞接着分子CADM1の示す多彩な機能と病態への関与 フリーアクセス

著者: 村上善則1

所属機関: 1東京大学医科学研究所人癌病因遺伝子分野

ページ範囲:P.356 - P.360

 CADM1は当初,肺がん細胞のマウス皮下腫瘍原性を抑制する分子として同定された,免疫グロブリン・スーパーファミリー細胞接着分子に属する膜タンパク質である。上皮や神経,精巣などで高発現する一方,多くの上皮性腫瘍では発現が欠如する。上皮の細胞接着に共役するがん抑制活性に加え,活性化NK細胞やCD8 T細胞に認識される上皮側の抗原としても機能し,二重の意味でがん抑制活性を示す。一方,成人T細胞白血病や小細胞肺がんでは過剰発現して悪性化を促進し,診断マーカーとして実用化しつつあり,治療標的としても期待される。更に,精子形成,シナプス形成にも関わり,その機能欠損は雄性不妊や自閉症など多彩な病態に関わる。ここでは,がんを中心にCADM1の多様な機能を紹介し,細胞接着異常が惹起する多彩な病態について考察したい。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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