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文献詳細

雑誌文献

生体の科学72巻5号

2021年10月発行

文献概要

増大特集 脳とからだ Ⅳ.内分泌系と脳の相互作用

慢性ストレス負荷と抗うつ剤による脳内モノアミン神経活動のバランス制御

著者: 那波宏之12 鬼川真紀1 難波寿明12 外山英和1

所属機関: 1新潟大学脳研究所分子神経生物学分野 2和歌山県立医科大学薬学部生体機能解析学研究室

ページ範囲:P.497 - P.500

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 動物個体の精神ストレス感受性や抵抗性(レジリエンス)には,3種モノアミン神経伝達が包括的な影響を及ぼす。精神ストレスが負荷されるとドパミン神経,セロトニン神経,ノルアドレナリン神経はその自律発火頻度を一斉に上昇させ,扁桃体や前頭前野,視床下部などを介して,下垂体や交感神経系などを興奮させることで,覚醒・思考レベルを高め,不安感を惹起し,注意力を亢進させると共に,血圧上昇や心拍数を上げることで,全生体防御システムを駆動させる。
 このように,脳内モノアミン神経系はストレス感受性や抵抗性の調節司令塔の役割を担う。一見合理的な生体防御システムに思えるが,過度の精神ストレスや長期にわたるストレス刺激は,逆に意識レベルを下げ,注意力とやる気を低下させ,漫然と恐怖・不安をあおり,血圧上昇や心拍数の調節を不安定化させ,いわゆる“うつ症状”を惹起する。従来の抗うつ剤の薬理学から,セロトニンやノルアドレナリン神経伝達がストレス調節において重要視されているが,最近の研究結果との矛盾も多い。そこで筆者らは,中脳延髄にある各モノアミン神経細胞の自律発火がどのように相互に影響・干渉しているかを探求した。その結果,安静時のドパミン神経活動が最も下流に位置して,ストレス感受性に直接的に影響している可能性が判明した。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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