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文献詳細

雑誌文献

生体の科学72巻6号

2021年12月発行

文献概要

特集 新組織学シリーズⅡ:骨格筋—今後の研究の発展に向けて Ⅲ.骨格筋を障害する疾患の注目すべき病態

鏡-緒方症候群の筋発生異常の原因となる真獣類特異的遺伝子PEG11/RTL1

著者: 石野史敏1 北澤萌恵1 金児-石野知子2

所属機関: 1東京医科歯科大学統合研究機構 2東海大学医学部看護学科

ページ範囲:P.549 - P.554

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はじめに:鏡-緒方症候群について

 難病認定される鏡-緒方症候群は,ヒト染色体14番父親性2倍体で生じる重篤なゲノムインプリンティング疾患である(図1A)。特徴的なベル型肋骨は呼吸不全による新生児致死と関連すると考えられ,腹直筋乖離などの筋肉関連の異常や,発育遅滞を伴う知的障害などを引き起こす1)

 一方,同じ領域の母親性2倍体はテンプル症候群の原因となり,出生前後の発育遅滞,筋緊張低下,摂食嚥下困難,発語の遅れなどを引き起こす2)(図1B)。ゲノムインプリンティングは,胎生の生殖様式をとる真獣類,有袋類にのみみられるエピジェネティック機構で,染色体のおよそ20領域で遺伝子の片親性発現を制御する。父親・母親由来で発現するインプリント遺伝子[PEGMEG(paternally expressed genes and maternally expressed genes)]は,differentially methylated region(DMR)と呼ばれる父親・母親由来でDNAメチル化状態の異なる配列によって制御される3)。ヒトとほぼ共通のインプリント領域(インプリント遺伝子)を持つマウスは,これら疾患の良いモデルとなる。

参考文献

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11)Kaneko-Ishino T:偶然から必然へ〜ゲノムインプリンティング・胎生・獲得遺伝子〜.http://mammalian- specific-genes.med.u-tokai.ac.jp/index.html

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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