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特集 新組織学シリーズⅡ:骨格筋—今後の研究の発展に向けて Ⅲ.骨格筋を障害する疾患の注目すべき病態
鏡-緒方症候群の筋発生異常の原因となる真獣類特異的遺伝子
著者: 石野史敏1 北澤萌恵1 金児-石野知子2
所属機関: 1東京医科歯科大学統合研究機構 2東海大学医学部看護学科
ページ範囲:P.549 - P.554
文献購入ページに移動難病認定される鏡-緒方症候群は,ヒト染色体14番父親性2倍体で生じる重篤なゲノムインプリンティング疾患である(図1A)。特徴的なベル型肋骨は呼吸不全による新生児致死と関連すると考えられ,腹直筋乖離などの筋肉関連の異常や,発育遅滞を伴う知的障害などを引き起こす1)。
一方,同じ領域の母親性2倍体はテンプル症候群の原因となり,出生前後の発育遅滞,筋緊張低下,摂食嚥下困難,発語の遅れなどを引き起こす2)(図1B)。ゲノムインプリンティングは,胎生の生殖様式をとる真獣類,有袋類にのみみられるエピジェネティック機構で,染色体のおよそ20領域で遺伝子の片親性発現を制御する。父親・母親由来で発現するインプリント遺伝子[
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