icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学72巻6号

2021年12月発行

文献概要

特集 新組織学シリーズⅡ:骨格筋—今後の研究の発展に向けて Ⅲ.骨格筋を障害する疾患の注目すべき病態

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの中枢神経障害

著者: 橋本泰昌1 青木吉嗣1

所属機関: 1国立精神・神経医療研究センター神経研究所遺伝子疾患治療研究部

ページ範囲:P.565 - P.568

文献購入ページに移動
 Duchenne型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy;DMD)は,X染色体(Xp21.2)上に位置するDMD遺伝子の変異により発症する希少神経・筋難病である1)。出生男児3,500-5,000人に1人の割合で発症し,臨床経過として2-5歳時に歩行の異常を呈し,徐々に筋力低下が進行し,11-13歳ごろから独り歩きができなくなる。30年前までは10歳代後半で死亡することが多かった。しかし,現在では骨格筋と心筋を対象としたステロイド治療および人工呼吸器管理と心臓デバイス治療を含めた最善のケアにより,生存期間が延長した2)

 近年,DMDの筋を狙ったアンチセンス核酸医薬であるビルトラルセンの開発により,治療対象組織を拡大する動きが加速しつつある3)。仮に全身の筋機能が改善され寿命を更に延ばすことができるようになれば,ジストロフィン欠損を呈する脳の状態も改善させることが求められると考えられる。その結果,コミュニケーション能力や社会適応能力の向上により,高いQOLや自立した社会生活を有意義に送ることができるであろう。そこで本稿では,DMDの中枢神経障害の原因や病態を解説する。

参考文献

. 24:457-466, 1992
.70:305, 2016
. 10:eaan0713, 2018
4)Duchenne GBA:De l' Electrisation Localisée et son Application à la Pathologie et à la Thérapeutique. 3rd ed, Paris, Baillière, 1872
. 68:109-118, 2016
. 4:359-369, 1994
. 30:316-327, 1988
. 14:191-195, 1984
. 161:705-709.e1, 2012
. 7:12575, 2017
. 87:129-134, 1994
. 4:87-92, 1988
. 76:403-411, 2014
. 27:29-37, 2017
. 55:591-595, 2017
. 2:371-378, 1992
. 25:1359-1377, 2011
. 2:731-740, 2003
. 348:725-728, 1990
. 97:232-239, 1996
. 4:329-335, 1995
. 2021 Jun 8. doi:10.1007/s10571-021-01110-6. Online ahead of print
. 18:63, 2017
. 57:1748-1767, 2020
. 35:487-496, 2012
. 78:824-834, 2001
. 5:76, 2020
. 47:138-149, 2004
. 132:124-135, 2009
. 12:713-717, 2002
. 578:49-54, 1992
. 2:2, 2001
. 26:1041-1055, 2017
. 18:1683-1688, 2010
. 43:635-641, 2011
. 21:270-275, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?