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特集 意識 Ⅰ.ヒトを対象とした実験的アプローチ
レビー小体型認知症の幻視,パレイドリア,実体意識性
著者: 西尾慶之1
所属機関: 1東京都立松沢病院精神科
ページ範囲:P.3 - P.6
文献購入ページに移動 幻聴が統合失調症とその類縁状態を特徴づける症状である一方,幻視(visual hallucinations)や錯視(visual illusionsもしくはmetamorphopsia)は脳の疾患・損傷に関連して認められることが多い。幻視と錯視の境界はしばしば曖昧だが,幻視は対象なき視覚,錯視は対象が歪んで視覚認知されること,とそれぞれ定義されている。幻視は更にその内容に基づいて単純幻視と複雑幻視に分類される。単純幻視は光(フォスフェン)や幾何学模様などの無意味な内容を持つ幻視で,複雑幻視は人・動物・物体・風景などの意味のある内容を有する幻視のことである。本稿で取り上げるレビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)では,主として複雑幻視が認められる。加えて,実在する視覚対象の無意味な部分を有意味な対象(顔や姿)として認識してしまうパレイドリア(pareidolia)と呼ばれる錯視や,視覚対象認知の体験を伴わない空間的な幻覚である実体意識性(feeling of presence)などが幻視の周辺症状として高い頻度で認められる。
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