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特集 意識 Ⅱ.動物を対象とした実験的アプローチ
マカクザルとヒトの回顧的・展望的なメタ認知のための神経回路
著者: 宮本健太郎1
所属機関: 1理化学研究所脳神経科学研究センター思考・実行機能研究チーム
ページ範囲:P.49 - P.53
文献購入ページに移動 人間を含む動物が自己意識(self-consciousness)を持つためには,自身の知覚や認知に対する内省能力—メタ認知—と,メタ認知に基づいた,過去から現在,未来へと連続する自己の一貫性に対する理解の両方が欠かせない1,2)。動物は自己意識の媒介により,単に環境の変化に対して応答するだけでなく,環境に対して主体的に働きかけを行うことができると考えられる。しかし,動物に自己意識が存在するのか,存在するならばそれが神経生物学的にどのように実現されているのか,これまでにわかっていなかった。本稿では,過去・現在・未来の行動に対するメタ認知能力の神経基盤を,マカクザルとヒトを対象に検証した筆者らの研究を紹介し,自己意識の進化的起源に迫る。
参考文献
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