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文献詳細

雑誌文献

生体の科学73巻1号

2022年02月発行

文献概要

特集 意識 Ⅱ.動物を対象とした実験的アプローチ

前障と意識

著者: 吉原良浩1

所属機関: 1理化学研究所脳神経科学研究センターシステム分子行動学研究チーム

ページ範囲:P.54 - P.58

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 前障(claustrum)は大脳皮質の内側に位置する薄いシート状の神経核である。近年,発生工学,光遺伝学,電気生理学,ウイルスベクター技術を駆使して,前障の機能解明へ向けての研究が活発に行われ始めた。筆者らは,睡眠中や安息時の大脳皮質で観察される徐波活動の制御に前障が重要な役割を果たすことを見いだした。本稿では,前障の機能についての筆者らの最新データを紹介すると共に,前障と意識の関連について考察する。

 1962年にDNAの二重らせん構造の解明でノーベル生理学・医学賞を受賞したFrancis C. Crickは,その後の彼の人生の大部分を脳の機能についての考察に費やし,多くの大胆な仮説を提唱した1-3)。2004年にCrickは逝去したが,その翌年,彼の最後の総説論文「What is the function of the claustrum?」がChristof Kochとの共著として発表され,「前障が意識の中枢である」という仮説が提唱された3)。これにより前障への注目が高まり,その後の光遺伝学・ウイルスベクター技術開発などの脳科学方法論のブレイクスルーと相まって,世界中の多くの研究者が前障の機能解明へ向けての研究を開始した。

参考文献

1)Crick F:The Astonishing Hypothesis:The Scientific Search for the Soul, Charles Scribner's Sons, New York, 1994
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99:1029-1039, 2018
18)Steriade M:Neuronal Substrates of Sleep and Epilepsy, Cambridge Univ Press, Cambridge, 2003
. 14:443-451, 2013
. 36:827-838, 2014
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. 97:296-303, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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