icon fsr

文献詳細

雑誌文献

生体の科学73巻2号

2022年04月発行

文献概要

特集 DNA修復による生体恒常性の維持 Ⅳ.がん治療における新たな方向性

DNA損傷応答を標的としたがん治療

著者: 細谷紀子1

所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター放射線分子医学部門

ページ範囲:P.168 - P.172

文献購入ページに移動
 放射線治療や抗がん剤治療は,がん細胞のDNAに外的に二本鎖切断を付与することによって細胞死を引き起こすことを原理とする。二本鎖切断が修復されずに残存すれば細胞死が誘導されるが,細胞の持つDNA損傷応答機能によって修復できる場合には細胞は生き残る。がんにおいては,多様なDNA損傷応答の機能異常がみられる。この異常を逆手にとり,がんで特定のDNA損傷応答経路が欠損している場合に,代替で働いている別の経路を阻害することにより,がん細胞特異的に細胞死を誘導する治療法が実臨床で導入されている。また,特定の損傷応答経路を阻害してDNA損傷性のがん治療の効果を高める治療法も試みられてきた。本稿では,DNA損傷応答研究が切り拓いた新しいがん治療を振り返ると共に,今後克服すべき課題についても考察したい。

参考文献

. 16:81-104, 2019
. 105:370-388, 2014
. 47:D941-D947, 2019
. 434:913-917, 2005
. 434:917-921, 2005
. 39:566-579, 2021
. 35:851-867, 2019
. 79:311-319, 2019
. 62:i44-i52, 2021
. 25:3759-3771, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら