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文献詳細

雑誌文献

生体の科学73巻3号

2022年06月発行

文献概要

特集 リソソーム研究の新展開 Ⅲ.リソソームと疾患

ライソゾーム病と創薬

著者: 月本準1 伊藤孝司1

所属機関: 1徳島大学大学院薬科学教育部創薬生命工学分野

ページ範囲:P.241 - P.245

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 ライソゾーム病は,リソソーム内に存在する酵素類の遺伝的欠損が原因である先天性代謝異常症である。リソソームは細胞内のタンパク質や糖質,脂質などを分解する機能を持った細胞小器官(オルガネラ)であり,内部ではグリコシダーゼ,プロテアーゼ,リパーゼ,ホスファターゼ,ヌクレアーゼなどの酵素が基質を分解している。リソソーム内部はプロトンポンプによってpH5程度の酸性に保たれており1),リソソーム酵素の多くはこのpH付近に至適pHを持つ。疾患にもよるが,ライソゾーム病の患者数は新生児10万人当たり1人程度の確率で発見される。わが国では,31種類のライソゾーム病が厚生労働省の難病に指定されている。臨床症状としては,関節の動きが悪い,運動機能,精神機能の発達が遅いなどの症状から始まり,重篤な心不全,腎不全,肝機能障害などが現れ,多くの場合は成人を迎える前に死亡する2)。検査方法としては,血球細胞や培養患者皮膚線維芽細胞を用いた酵素活性測定,遺伝子検査などがあるが,治療法のない疾患も多いため診断に至らないケースもある。本稿では,リソソーム酵素の基礎,ライソゾーム病治療法の現状について概説し,今後の治療に関する展望について紹介する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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