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文献詳細

雑誌文献

生体の科学73巻3号

2022年06月発行

文献概要

特集 リソソーム研究の新展開 Ⅲ.リソソームと疾患

パーキンソン病とリソソーム

著者: 小池正人1

所属機関: 1順天堂大学大学院医学系研究科神経機能構造学

ページ範囲:P.256 - P.260

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 リソソームは,細胞内外の不要な物質や細胞小器官(オルガネラ)の分解を行う内部が酸性のオルガネラである。リソソームの加水分解酵素をコードする遺伝子の変異は,ライソゾーム病と総称される各種希少疾患の原因となる。加えて,リソソームの機能異常はより一般的な神経変性疾患の発症とも関連することが明らかになってきた1)。本稿では,そのうちパーキンソン病との関連について紹介する。

 パーキンソン病(Parkinson's disease;PD)は静止時振戦,固縮,無動,姿勢反射障害から成るパーキンソニズムを呈する神経変性疾患で,病理学的にはレビー小体と呼ばれる封入体を伴う黒質の神経細胞の脱落を特徴とする。PDはアルツハイマー病に次いで頻度の高い神経変性疾患である。PDの多くは孤発性であるが,単一遺伝子異常に伴う遺伝性PDも存在し,現在までにPark1-24のタイプが報告されている(表)2,3)。遺伝性PDの原因遺伝子でリソソーム系と関連するものについては,①マイトファジーと関連するもの,②リソソーム膜タンパク質,③リソソーム酵素,④細胞内小胞輸送に大別することが可能である。更に,リソソーム酵素のグルコセレブロシターゼをコードするGBAの変異は孤発性PDのリスク因子である(図1)3)。本稿では,これらを中心に紹介したい。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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