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文献詳細

雑誌文献

生体の科学73巻4号

2022年08月発行

文献概要

特集 形態形成の統合的理解 Ⅳ.多様な生物種に学ぶ

うじ虫の皮が体を形づくるしくみ

著者: 田尻怜子1

所属機関: 1千葉大学大学院理学研究院生物学研究部門

ページ範囲:P.348 - P.352

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 生物の形がどうやってつくられるのかという問いに対して,従来の発生学では“体=細胞の集まり”という前提のもと,発生過程における細胞の振る舞い(細胞の変形,細胞分裂,細胞移動など)により組織がめまぐるしく変形していって最終形ができるしくみが示されてきた。しかし,生物の体の材料は細胞だけではない。ヒトの骸骨やセミの抜け殻には生きた細胞が存在しないにもかかわらず,われわれはそれぞれの生物の形をそこに見いだす。ということは,これらの生物の形を直接的に規定するのは細胞ではなく,骨や殻なのである。脊椎動物の骨も,昆虫の殻(クチクラ)も,いずれも細胞外に形成される基質である。こういった細胞外基質は生物の形づくりにどのように寄与するのだろうか? 本稿では,昆虫の形態形成に対するクチクラの寄与について,モデル生物であるショウジョウバエを用いた研究を紹介する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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