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増大特集 革新脳と関連プロジェクトから見えてきた新しい脳科学 Ⅲ.ヒト疾患研究 a)精神疾患
PTSDの分子細胞生物学
著者: 喜田聡1
所属機関: 1東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻
ページ範囲:P.454 - P.455
文献購入ページに移動 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は生死に関わるトラウマ体験の記憶(トラウマ記憶)が原因となった精神疾患であるが,その分子メカニズムは不明である。PTSDの主症状が,トラウマ体験の記憶が蘇る再体験症状であり,恐怖記憶の想起(思い出し)と想起後の再固定化の記憶制御プロセス群の異常との関連が予想される。一方,最近,ゲノム解析によりPTSD関連遺伝子の同定が試みられている。筆者らは齧歯類PTSDモデルを用いて恐怖記憶想起と再固定化の分子機構の解明を進めてきた。以上の背景と筆者らの研究成果に基づき,PTSDの発症や病態に対するcAMP情報伝達経路の重要性について考察する。
参考文献
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