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生体の科学73巻6号

2022年12月発行

雑誌目次

特集 新組織学シリーズⅢ:血管とリンパ管

特集「新組織学シリーズⅢ:血管とリンパ管」によせて

著者: 栗原裕基

ページ範囲:P.500 - P.500

 古代ギリシャの時代,動脈と静脈には別々の血液が流れており,肝臓でつくられた血液が体中に一方向性に広がって,末梢で組織の成分に“同化”されると考えられていた。この考えは,英国の医学者ウィリアム・ハーヴェイ(William Harvey, 1578-1657)が1628年に著した『動物の心臓ならびに血液の運動に関する解剖学的研究』において血液循環説が提唱されるまで信じられてきた。この発見が近代実証医学の先駆けとなり,医学の世界にパラダイムシフトをもたらしたことは周知のとおりである。一方,リンパ管の存在はやはり古代ギリシャの時代から,“乳び状の液体”を含む管として認知されていたが,ハーヴェイとほぼ同時代に,腸間膜の乳び管から胸管を経由して鎖骨下静脈に至る脈管系が次々と明らかにされ,デンマークの医学者でハーヴェイと同じくイタリアのパドゥア大学に学んだトマス・バルトリン(Thomas Bartholin, 1616-1680)によって“リンパ管(vasa lymphatica)”と名づけられた。以後,顕微鏡の発明により毛細血管や微小リンパ管を介した微小循環系の存在が証明され,生化学・分子生物学の発展などによってその機能や分子実体の解明が進み,現在に至っている。まさに,近代医学をその先頭に立って切り拓いてきた分野である。

 一方,臨床医学においては,血管・リンパ管が様々な疾患に関与することは言うまでもない。冠動脈疾患をはじめとする心疾患や脳血管疾患は悪性腫瘍に次いで日本人の主要な死因となっているし,死因の第1位である悪性腫瘍においても,腫瘍血管新生や転移(血行性およびリンパ行性)においてその病態に深く関与している。更に,代謝性疾患や老化をはじめ,全身の恒常性の破綻による様々な病態には,血管障害やリンパ管障害,血管由来の様々な因子が深く関わり,治療や予防の標的となっている。

Ⅰ.血管・リンパ管研究の多様なアプローチ

血管とリンパ管の機能形態学

著者: 下田浩

ページ範囲:P.501 - P.506

 脊椎動物では,まず同化性・異化性循環をつかさどる器官として血管系が確立し,その後新たに組織液や細胞・組織の代謝物の回収,加えて自由細胞の輸送に特化した循環器としてリンパ管系が構築される。進化における個体の形態変化に応じて循環器系も大きく改築され,新たな循環器であるリンパ管は様々な機能形態を獲得する。本稿ではリンパ管系を軸として,系統発生学的見地より血管・リンパ管の機能形態について概説する。

血管の三次元構造可視化と組織・臓器ごとの多様性

著者: 髙橋智子

ページ範囲:P.507 - P.510

 血管は,生体内のあらゆる組織の恒常性を維持するために,複雑な血管ネットワークを構築し,組織へ酸素や栄養素を供給する役割を果たす。既存の血管から新たな血管枝が分岐して血管網を形成する血管新生は,組織への酸素供給路を確保することから,脊椎動物が成長発達するうえで必須なプロセスである。近年,免疫組織化学的な技術などの進歩により,血液を運搬するというこれまでの血管の概念に加えて,臓器・組織における特異的な血管新生が臓器の形態形成や組織の修復など,様々な機能を制御していることが示唆されている。本稿では,血管のイメージング技術を用いて明らかになった,組織・臓器ごとの血管の多様性,特に身体のなかで最も硬い組織であることから,血管構造の可視化が困難とされていた歯の三次元血管構造の可視化に成功したことによる歯の発達と血管新生の関連について,筆者らのこれまでの研究成果を含め紹介する。

血流とメカノセンシング

著者: 山本希美子 ,   安藤譲二

ページ範囲:P.511 - P.516

 血管内皮細胞が血行動態を感知(メカノセンシング)してその情報を細胞内に伝達し,細胞の形態や機能,遺伝子発現の変化などの細胞応答を引き起こすメカノトランスダクションのメカニズムが徐々に明らかにされてきた。病的な状態では,これらの応答が正常に働かず,高血圧,血栓症,動脈瘤,動脈硬化などの様々な血管病変を引き起こす。本稿では,内皮細胞における血行力学因子のメカノセンシング機構について,メカノセンサー分子の働きに焦点を当てて概説する。

In vitro再構成モデルを用いた血管新生における血流力学作用の解析

著者: 西山功一

ページ範囲:P.517 - P.522

 血管新生は,既存の血管から新たな血管が出現し血管網を増生する生体反応であり,個体発生から成体における生理学的反応そして病態形成まで,様々な生命現象に関与する1-3)。新生した血管は,常に血流に曝されている(図1)。したがって,血管新生過程は血流による何らかの作用を受けていると想定されるが,その真相は十分に明らかにされていない。理由の一つに,有用な解析系がなかったことが挙げられる。最近,マイクロ流体デバイス上に血流を模すような灌流系と血管新生を同時に再現させる技術を用いて,血管新生における血流の作用を解析することが可能になってきた。本稿では,マイクロ流体デバイスを用いた新たな解析技術を紹介しながら,明らかになった血管新生における血流の作用に関して概説する。そのなかで,同アプローチを応用して筆者らが開発した血流圧作用の解析法と,それにより明らかになった血流圧の血管新生抑制作用を紹介したい。

Ⅱ.血管・リンパ管新生

血管系の幹・前駆細胞

著者: 内藤尚道 ,   松居彩 ,   射場智大

ページ範囲:P.523 - P.528

 多くの組織で,細胞の恒常性維持と修復に組織幹細胞が働くことが知られている。血管においては,血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell;EPC)と呼ばれる血管内皮細胞の前駆細胞が血液中に存在し,血管の修復と恒常性維持に貢献する可能性が20年以上前に報告され,その後,広く研究されてきた。一方で,血液中ではなく,血管そのものに組織幹細胞としての特徴を持つ細胞が存在する可能性も提唱されている。本稿では,最初にEPCに対する最近の解釈を紹介する。そのうえで,血管に存在する幹・前駆細胞に関する最新の知見を紹介する。

生体イメージングにより解き明かされた創傷治癒における血管新生の制御機構

著者: 石井智裕 ,   弓削進弥 ,   福原茂朋

ページ範囲:P.529 - P.533

 生体組織が損傷を受けると,それを修復するために血管新生が誘導される。これまでゼブラフィッシュを用いた蛍光イメージングにより,発生期における血管新生の制御機構が精力的に研究されてきた。最近,筆者らは,成魚を長時間ライブイメージングする技術を確立し,創傷治癒に伴う血管新生の制御機構について研究を行った。本稿では,筆者らの解析により明らかになった,創傷治癒における血管新生の新たな制御機構を紹介する。

腫瘍血管の新たな側面

著者: 木戸屋浩康 ,   髙良和宏

ページ範囲:P.534 - P.538

 腫瘍血管の形成機構および機能は,当初の想定以上に複雑で多岐にわたっており,この多様性こそが血管新生阻害剤や抗がん剤に対する治療抵抗性の根本であることが明らかになりつつある。本稿では生体内イメージングやシングルセルオミクスなどの革新的技術によって見えてきた腫瘍血管形成のダイナミクスや腫瘍血管内皮細胞の特性について解説する。

血管新生と代謝

著者: 有馬勇一郎

ページ範囲:P.539 - P.542

 血管内皮細胞における重要な代謝の特徴は,酸素の豊富な血液に最も近い臓器であるにもかかわらず,酸化的リン酸化より解糖系が優位であるという点である。腫瘍細胞が有酸素下においても酸化的リン酸化ではなく解糖系でATPを産生する特性を持つようになることは,Warburg効果として知られているが,内皮細胞の場合は正常に分化・成熟した状態においても解糖系優位であり,注目すべき代謝的特徴である。これまでの代謝研究は,ATP産生を目標としたエネルギー産生機構としての側面が注目されていたが,近年細胞の表現型を示す機能的特徴にも影響することが注目されている。本稿では内皮細胞を中心として,代表的な代謝である糖・脂肪酸代謝による血管新生への影響を紹介すると共に,近年注目されつつある,ケトン体代謝に関しても概説する。

リンパ管発生における転写調節

著者: 久米努

ページ範囲:P.543 - P.547

 脈管ネットワークの一部であるリンパ管は,血管から漏れた血漿と組織間液の過剰分を回収する役割を持ち,生体の恒常性維持に必須である。既存のリンパ管からの新生(リンパ管新生)は多様な疾患・病態に関わるが,リンパ管内皮細胞の増殖・遊走などの制御に関する分子基盤,特に転写制御の機序はいまだ不明な点が多い。本稿では,リンパ管発生における転写調節機構,特にリンパ管内皮細胞への分化,発生期のリンパ管新生,リンパ管の弁形成過程でのエピジェネティクス制御を含む遺伝子発現メカニズムについて解説する。

リンパ管新生と維持を制御するシグナルネットワーク

著者: 渡部徹郎

ページ範囲:P.548 - P.552

 リンパ管は血管と共に閉鎖循環系を形成し,体液の恒常性の維持や免疫応答,脂肪の吸収などに重要な役割を果たしているため,リンパ管の機能不全はリンパ浮腫をはじめとした様々な疾患を引き起こす。これらの病態解明や治療法の確立のためにも,リンパ管の形成ならびに維持機構の研究に注目が高まっている。近年,リンパ管研究は特異的マーカーの発見や動物モデルを用いた解析により飛躍的に進んでいるが,本稿では成体におけるリンパ管の形成,維持を制御するシグナルおよびリンパ管機能不全が関与する疾患について概説する。

Ⅲ.血管・リンパ管と病態

アテローム血栓症の病理と発症機序

著者: 山下篤 ,   浅田祐士郎

ページ範囲:P.553 - P.558

 日本人の死因における循環器疾患は,第2位の心疾患と第4位の脳血管疾患を合わせると第1位の悪性新生物に匹敵する割合を占める。代表的疾患である急性心筋梗塞や脳梗塞は突然発症するため,それらを予防するためには発生機序の解明が重要である。これらの虚血性疾患の多くが,動脈硬化巣(プラーク)を基盤として発症する“アテローム血栓症”と心原性塞栓による“血栓塞栓症”から成る。

 血栓は,①血管壁の変化,②血流の変化,③血液成分の変化,が関連して形成されるとされており,アテローム血栓症ではプラークの存在とその傷害(プラーク破綻)が重要である。プラーク破綻には,プラーク破裂,プラークびらん,結節性石灰化の破綻があり,プラーク破裂につながるプラークの不安定化については多くのことが明らかになってきている。プラークびらんの発生機序は諸説ある状況で,結節性石灰化の形成機序やその破綻のメカニズムは明らかではない。

Neurovascular unitと脳血管障害

著者: 髙橋愼一

ページ範囲:P.559 - P.563

 Neurovascular unit(NVU)とは,ニューロンと脳微小血管を基盤として脳機能を統合的に捉え,脳血管障害,特に虚血性脳卒中の病態を理解するために提唱されたconceptual frameworkである1,2)。NVUについて最初に記載されたのは2002年であり,今年でちょうど20年目になる3,4)。NVUの構成要素としてはニューロンと脳微小血管のほか,まず両者間を介在するアストロサイト(アストログリア),更にミクログリア,ペリサイト(周皮細胞),細胞外マトリックス(extracellular matrix;ECM)などが含まれる。オリジナルのNVUは“大脳皮質”の構造モデルであるが,“大脳白質”において神経軸索と髄鞘,すなわちオリゴデンドロサイト(オリゴデンドログリア)を加えたNVUを想定することは,疾患病態モデルとして有用である(図)。

 脳の機能維持に必須の酸素とグルコースは,脳外からのみ供給され,脳機能活動亢進に伴って増加する消費を補うため局所脳血流も増加する。供給されたグルコースは,毛細血管レベルのNVUにおける構成細胞間の代謝コンパートメントにより,ニューロンの効率良いATP産生を可能とする。脳微小血管(細動脈と毛細血管)の拡張には,ニューロンの直接作用,アストロサイトやペリサイトを介する作用が統合的に作動する。血管閉塞による脳虚血下では,一刻も早い組織再灌流が必要であり,再開通療法は現在の急性期脳梗塞治療の中核を成す5)。近年,NVUは脳血管障害のみならず,神経変性疾患,神経免疫疾患の病態を理解するツールとしても注目されている6,7)

もやもや病の原因遺伝子と病態生理

著者: 山本由美 ,   猪原匡史

ページ範囲:P.564 - P.568

 もやもや病は,進行性の頭蓋内動脈狭窄・閉塞と,代償的に発達したもやもや血管と呼ばれる異常血管網を特徴とする指定難病である。わが国におけるもやもや病の発生率は,人口10万人当たり0.35-0.54人程度であり,男女比は1:1.8で女性に多く,東アジア人種で特に多く認められる1)。患者の10-15%が家族性発症であるため,遺伝要因の寄与が推定されていたが,近年,もやもや病の感受性遺伝子の一つとしてring finger protein 213RNF213, mysterin)が同定された2,3)。わが国においては,RNF213 p.R4810K多型は家族性もやもや病患者の約90%に見いだされ,疾患との非常に強い相関を示す一方で,一般人口においても2-3%の未発症キャリアが存在し,発症には追加の遺伝もしくは環境要因が必要と考えられている3-5)。また,もやもや病の診断基準を満たさない未発症のp.R4810K多型保有者においても,頭蓋内動脈狭窄・閉塞に重要な役割を果たしている可能性が示唆されており6,7),孤発性を含めた頭蓋内動脈狭窄を伴う脳梗塞例の発症に関与する重要な因子として,RNF213が注目されている。

心臓疾患とリンパ管

著者: 松井健汰 ,   丸山和晃 ,   今中-吉田恭子

ページ範囲:P.569 - P.574

 リンパ管は過剰な間質液や炎症細胞の回収を通じて生体の組織恒常性を維持する。心臓でも,心筋梗塞などの病態で透過性の亢進した毛細血管から漏れ出た間質液,マクロ分子,炎症細胞の回収を促すことで梗塞後リモデリングを改善する働きを有し,新たな治療標的として注目されている。本稿では心臓リンパ管の解剖,発生,病態形成における役割を最新の知見を交えて概説する。

リンパ管機能異常とアテローム性動脈硬化症

著者: 宮崎拓郎

ページ範囲:P.575 - P.579

 リンパ管は体液バランスの調節,免疫細胞の交通ならびに食物から摂取した脂質の運搬に重要な役割を担う。近年,脂質異常症の存在下でリンパ管機能が低下し,これが冠動脈や主要な動脈において動脈硬化症の発症・進展に寄与するとの報告が相次いでいる。実際,マウスにおける血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)-CおよびVEGF-Dをはじめとするリンパ管新生関連因子の欠損やChy変異に伴うリンパ管機能不全は,血中のリポタンパク質コレステロールの組成に影響を及ぼし,脂質異常症を増悪化する。また,動脈硬化病変外膜には微小リンパ管が存在し(図1),これが病変内部のコレステロールの引き抜きやリンパ球の離脱に関わっている。

 一方,脂質異常症の改善によりリンパ機能も回復することが報告されており,両者は双方向の事象であることが示唆される。このように次々と新たな発見がなされているが,リンパ管異常と動脈硬化症のどちらが引き金になるか,脂質異常症によりリンパ管内皮細胞にいかなる機能的障害が引き起こされるか,など明確になっていない学術的な問いも多い。本稿では,特に高コレステロール血症により誘発されるリンパ管障害とアテローム動脈硬化症の連関を考察すると共に,本トピックに関して今後どのような検討がなされるべきか最新の知見をもとに議論したい。

がん転移と腫瘍リンパ管

著者: 伊東史子

ページ範囲:P.580 - P.584

 1981年以降,がん(悪性新生物)は日本人の死亡原因第1位の疾患である。がん患者死亡には腫瘍転移が強く影響するため,腫瘍転移の抑制は有効ながん治療となると考えられている。腫瘍転移は,血行性転移,リンパ行性転移,播種性転移の3種類があり,いずれの場合においてもがん細胞の浸潤が認められる。Transforming growth factor-β(TGF-β)は腫瘍組織に高濃度で存在し,浸潤に関わる上皮間葉転換を誘導するため,がん悪性化因子として注目されている。本稿では,TGF-βシグナルが関わる腫瘍リンパ管と転移について,新しい知見と共に紹介する。

連載講座 ヒトを知るモデル動物としてのゼブラフィッシュ-7

神経疾患のモデル動物としてのゼブラフィッシュ

著者: 浅川和秀

ページ範囲:P.585 - P.590

 神経系は,身体や外界の環境の変化を感知し,生体の機能を適切に調節する役割を担っている。このため,神経系の異常を伴う疾患の症状は多岐にわたる。ゼブラフィッシュは,ヒトと相同な中枢神経系の基本構造を持っており,中枢神経系を構成する神経細胞のタイプの多くもヒトと相同である。更に,遺伝子のおよそ70%がヒトに保存されていることから,様々な神経疾患の細胞メカニズムや遺伝要因を研究するための優れたモデル動物として活躍している。本稿では,まず,この四半世紀で急速に発展したゼブラフィッシュを用いた疾患研究とその背景を概観し,その後に,筆者が取り組んでいる神経変性疾患の一つ,筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS)のゼブラフィッシュモデルの研究を紹介し,神経疾患の研究におけるゼブラフィッシュの有用性と課題について議論したい。

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目次

ページ範囲:P.499 - P.499

財団だより

ページ範囲:P.574 - P.574

次号予告

ページ範囲:P.590 - P.590

書評

著者: 内山安男

ページ範囲:P.591 - P.591

あとがき

著者: 栗原裕基

ページ範囲:P.592 - P.592

 新組織学シリーズの特集は,2020年の「皮膚」,2021年の「骨格筋」を経て,今回の「血管・リンパ管」が3回目になります。本シリーズは,本誌の編集委員長を長年務めてこられた野々村禎昭先生の発案によるもので,年1回ずつ生体の各組織を取り上げ,最終的には現代的な組織学の体系を構築したいとの意気込みでおられました。その野々村先生が昨年9月に急逝され,直前の編集会議で,「来年のシリーズでは血管・リンパ管をやりたいから,君,手伝ってくれないか?」と言われたのが最後のお言葉になってしまいました。野々村先生のご遺志を引き継ぐべく,お言葉の一つひとつを思い出しながら特集を構想し,多くの先生方のお力をいただきながら刊行に至ったのが本特集です。野々村先生が逝去されてから1年余が過ぎた今,亡くなる直前まで多くの論文を読み,学問への情熱を絶やすことのなかった先生のお姿を改めて思い出し,本特集をご覧になったらどんなに喜ばれることかとの思いを禁じ得ません。

 本号では,連載講座としてゼブラフィッシュによる神経疾患研究についてご紹介いただいた浅川先生の記事を含め,多くの先端的な研究が紹介されています。野々村先生をはじめ先達が築いてこられた礎の上に,こうした研究によって新しい世界が更に広がることを祈念して,ここに筆を擱きたいと思います。

生体の科学 第73巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

生体の科学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1883-5503

印刷版ISSN 0370-9531

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