文献詳細
特集 新組織学シリーズⅢ:血管とリンパ管
Ⅰ.血管・リンパ管研究の多様なアプローチ
文献概要
血管は,生体内のあらゆる組織の恒常性を維持するために,複雑な血管ネットワークを構築し,組織へ酸素や栄養素を供給する役割を果たす。既存の血管から新たな血管枝が分岐して血管網を形成する血管新生は,組織への酸素供給路を確保することから,脊椎動物が成長発達するうえで必須なプロセスである。近年,免疫組織化学的な技術などの進歩により,血液を運搬するというこれまでの血管の概念に加えて,臓器・組織における特異的な血管新生が臓器の形態形成や組織の修復など,様々な機能を制御していることが示唆されている。本稿では,血管のイメージング技術を用いて明らかになった,組織・臓器ごとの血管の多様性,特に身体のなかで最も硬い組織であることから,血管構造の可視化が困難とされていた歯の三次元血管構造の可視化に成功したことによる歯の発達と血管新生の関連について,筆者らのこれまでの研究成果を含め紹介する。
参考文献
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掲載誌情報