文献詳細
特集 新組織学シリーズⅢ:血管とリンパ管
Ⅱ.血管・リンパ管新生
文献概要
血管内皮細胞における重要な代謝の特徴は,酸素の豊富な血液に最も近い臓器であるにもかかわらず,酸化的リン酸化より解糖系が優位であるという点である。腫瘍細胞が有酸素下においても酸化的リン酸化ではなく解糖系でATPを産生する特性を持つようになることは,Warburg効果として知られているが,内皮細胞の場合は正常に分化・成熟した状態においても解糖系優位であり,注目すべき代謝的特徴である。これまでの代謝研究は,ATP産生を目標としたエネルギー産生機構としての側面が注目されていたが,近年細胞の表現型を示す機能的特徴にも影響することが注目されている。本稿では内皮細胞を中心として,代表的な代謝である糖・脂肪酸代謝による血管新生への影響を紹介すると共に,近年注目されつつある,ケトン体代謝に関しても概説する。
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掲載誌情報