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文献詳細

雑誌文献

生体の科学73巻6号

2022年12月発行

文献概要

特集 新組織学シリーズⅢ:血管とリンパ管 Ⅲ.血管・リンパ管と病態

もやもや病の原因遺伝子と病態生理

著者: 山本由美1 猪原匡史1

所属機関: 1国立循環器病研究センター脳神経内科

ページ範囲:P.564 - P.568

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 もやもや病は,進行性の頭蓋内動脈狭窄・閉塞と,代償的に発達したもやもや血管と呼ばれる異常血管網を特徴とする指定難病である。わが国におけるもやもや病の発生率は,人口10万人当たり0.35-0.54人程度であり,男女比は1:1.8で女性に多く,東アジア人種で特に多く認められる1)。患者の10-15%が家族性発症であるため,遺伝要因の寄与が推定されていたが,近年,もやもや病の感受性遺伝子の一つとしてring finger protein 213RNF213, mysterin)が同定された2,3)。わが国においては,RNF213 p.R4810K多型は家族性もやもや病患者の約90%に見いだされ,疾患との非常に強い相関を示す一方で,一般人口においても2-3%の未発症キャリアが存在し,発症には追加の遺伝もしくは環境要因が必要と考えられている3-5)。また,もやもや病の診断基準を満たさない未発症のp.R4810K多型保有者においても,頭蓋内動脈狭窄・閉塞に重要な役割を果たしている可能性が示唆されており6,7),孤発性を含めた頭蓋内動脈狭窄を伴う脳梗塞例の発症に関与する重要な因子として,RNF213が注目されている。

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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