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文献詳細

雑誌文献

生体の科学74巻1号

2023年02月発行

文献概要

特集 シナプス Ⅱ.シナプス伝達

AMPA受容体を中核としたtranslational medicine

著者: 高橋琢哉1

所属機関: 1横浜市立大学医学部生理学

ページ範囲:P.41 - P.46

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 1つの神経から異なる神経に情報伝達が起こるときに,その伝達を仲介する構造体がシナプスである。興奮性グルタミン酸シナプスは,脳内情報伝達において最も中核的役割を果たしている。シナプス前末端に興奮が伝導すると,シナプス小胞からグルタミン酸がエクソサイトーシスにより放出され,シナプス後膜に存在するグルタミン酸受容体に結合する。AMPA(α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazole propionic acid)受容体はそれ自体がイオンチャネルを構成するグルタミン酸受容体であり,グルタミン酸シナプスにおいて非常に重要な役割を果たしている1-3)。AMPA受容体は通常4量体のイオンチャネルを形成しており,グルタミン酸が結合するとイオンチャネルが開き陽イオンが透過できるようになる。細胞が興奮していない静止膜電位の状態であると,グルタミン酸が結合して活性化したAMPA受容体を介して陽イオンが細胞内に流入し,シナプス後膜の電位が上昇し(脱分極し),興奮性にシフトする。これまでの動物実験を中心とした基礎研究の蓄積により,AMPA受容体が多様な神経機能を中心的に担っていることが明らかになっている。本稿では,AMPA受容体を基盤としたヒト生体脳の研究,治療法,診断法の可能性について概説する。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1883-5503

印刷版ISSN:0370-9531

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